Kind Regards。

英国ネタをこつこつ載せてまいります。

2014年11月

イギリスも少しずつ寒くなってきたとは言え、ロンドンなど12月にしては暖かい方でしょう。
むしろ日本の方が寒波がやってきたとかで、大変そうです。夏と冬の落差があまりに激しすぎますね。


さて、クリスマスシーズンに突入し、日本でもイギリスでも何かと外食が増える時期ではないでしょうか。
誰かゲストを食事に接待する時などに悩んでしまうのが、レストラン選び。

身内で気楽に行くだけならば、値段もリーズナブルで美味しいお店を選べばいいのですが、特別なお祝い
だったり、ビジネスが絡んだりすると、ちょっと勝手が違ってきます。
オンラインブッキングできるサイトで、あえてレストランを値段の高い順番に並べたりという、普段ならあり得
ないことをしてみたり・・・。

これはプレゼントなどを買う時もちょっと似ていますよね。

普通ならば、モノの値段が上がれば上がるほど買い手は少なくなっていくはずなのですが、世の中には
むしろ値段が高い方が売れる商品もあるということです。
ブランド品なんかはその典型で、セール中に安売りをしないことも一つのステータスになったりしますよね。

前回の記事は、「ディスカウントしているから得しているはずだ!」という思い込みの話に触れましたが、
「高いから良いはずだ!」という思い込みもまた、ショッピングには付き物。
本来の「良いものだから高い」の理屈が、いつの間にか逆転して、心理の世界に変わっているという感じ
でしょうか。


「ブランド」というと、服とか靴とかバッグとか、ファッション系を思い浮かべますが、食べ物だってそうですね。

イギリス人がよく食べるものの一つに、「Baked beans」というのがあります。
これは豆のケチャップ煮のことで、「English breakfast」というイギリスの伝統的朝食メニューの中に必ずと
言っていいほど付いてくるもの。
スーパーに行くとこの缶詰が何種類もズラズラと並んでいて、ちょっと圧巻です。
何がどう違うのかよくわかりませんが、彼らにとってのbaked beansは、日本人にとっての納豆的な存在と
言えるのかもしれません。

で、この中でも揺るぎないブランドを確立しているのが「Heinz」(ハインツ)。
(日本でもケチャップが有名ですかね)


確か何かのテレビでやっていた実験なのですが、

二つの缶詰baked beansを用意して、一つはHeinzのブランドで、もう一つはスーパーのプライベートブランド
から出ている安いもの。これらを街行く人たちに食べ比べてもらって、どちらが美味しいか選んでもらうという
テストです。

すると、さすが王者Heinz。
どちらが好みですか?と聞かれると、「いやー、やはりHeinzが美味しいよ!」と答えた人が圧倒的多数。

・・・・・・

しかし、実はこの人たちが食べたのは、どちらもスーパーのプライベートブランド商品だったというオチが
あります。

「スーパーのやつは甘すぎる!」「明らかに味が違う!」とか自信満々にコメントしてしまった人たちは沢山
いても、「どちらも同じだよ」と答えられた人はほとんどいませんでした。

まあこれはちょっとズルいテストだとは思いますが、ブランドのものなら美味しいはずだ、高いものなら良い
はずだという先入観が、いつの間にか私たちを支配して、味覚まで変えてしまうというのはあらためて驚きです。
他人事のように言っていますが、自分もこのテストをされていたら、同じように引っかかっていたことでしょう。
このあたりはCMなども関係しているでしょうし、奥が深いなあと思います。


ブラックフライデーは過ぎ去り、次に控えているのがクリスマスセール。
イギリスのセールは値引き幅も大きく楽しいのですが、ちょっと一度頭を冷やしてから臨みたいところです。


■プライベート・ブランド(private brand, own brand)
■接待する(entertain)


11/28(金)は「ブラックフライデー」と呼ばれる日でした。

「ブラックフライデー」(Black Friday)というのは、アメリカの感謝祭の翌日金曜日のことで、色んなお店で
大安売りセールをやります。アメリカ発のセールがいつからかイギリスにもやってきて、当日一部の量販店で
見られた、テレビやゲーム機を奪い合う暴動さながらの様子がニュースで何度も流れていました。
レスリング状態の客たちに、「Stop!!!!」と叫ぶ店員と、まさにカオス(chaos)。


思い返してみれば、ここまでの揉みくちゃに巻き込まれた経験といえば、電車のラッシュを別にすれば、
子供の頃に連れられて行った神社でのイベントでしょうか。(よくテレビでやっている、福餅か何かを参拝客に
放り投げるやつですね。)
これは結構すごくて、まさに福をめぐるバトルということで、子どもなどが参加するとケガをしかねません・・・。
伝統とはいえ、神様の前で人々の欲が渦巻くという、なかなか不思議な光景です。

今にしてみれば、なんであんなもののために人は群がるのかと思いますが、新年のカウントダウンだって人は
集まりますし、福を得るために神木をケンカのように奪い合ったりするお祭りだってありますし、理屈だけでは
語れません。


さて、ブラックフライデーを見ていると、日本の初売りを思い出します。

服に関して言うならば、初売りなどで、「安いから」「お得だから」という理由だけで買ったものはあんまり着な
かったりしますよね。
一方、値段にかかわらず100%気に入ったものは、特別な時(special occasion)にだけ大事に着ようとして、
結局クローゼットに眠っていたりします・・・。
結果、「まあまあ気に入った」というものが、意外にも一番よくローテーションされていたりするので、なかなか
ショッピングも奥深いものだなあと思います。何事もほどほどが一番良いということでしょうか。

「アイロン不要」とか「ストレッチ入り」とか、機能面だって大事ですし、お得感だけでお金を出すのももったい
ないので、最近はバーゲンでの買い物が昔に比べて減っている気がしますね。


ブラックフライデーのセールで、大きなディスカウントでテレビを買った人たち。
彼らが自分たちで使うのか、あるいは誰か他に売ってしまうのかわかりませんが、セールで買い物をする時
には、「テレビというのは相場でこれぐらいの値段だろう」というのが既に頭にあって、今回の買い物でどれだけ
自分が得をするのか、暗にざっくりとした計算をするものです。
これは理屈の世界。

もうひとつは、お店に「100ポンドoff!」と言われれば、それはつまり100ポンドそのまま得したことになると
思い込んでしまうという、心理の世界もあります。
もしかしたらその商品は単に元々高いだけかもしれませんし、あるいは値引きでもしなければライバル商品
には到底勝てないものなのかもしれません。

となれば、この心理を利用した商法というのも当然出てきます。
例えばイギリスのテレビで流れる家具のコマーシャルなど見ていると、年中ディスカウントをやっているところ
があって、
£980  Now £545  などとアピールしています。

もちろん「おっ」と心惹かれる表示ですが、いつお店に行ってもこんなバーゲンをやっていると、これはさすがに
何か裏がありそうだと疑いますよね。

ディスカウントと言いながら、結局元の値付けが高いだけじゃないか!?ということで、確かBBCの番組で
取り上げていた記憶があります。
私たちがあまり情報を持っていない商品、普段買わないような高級品などは特に注意ということでしょうね。

続きは次回に。

■セール(sale, bargain)、ディスカウント(discount)
■特別な機会(special occasion)

住むだけのコストならば、今ロンドンが世界で一番高い都市。
そして、服とか食べ物とか、もっと広い種類の物価も含めたランキングでは、シンガポールが東京を抜いて、
1位に躍り出たという記事を以前ご紹介しました。


今回見つけたのは、「ビジネスをするのに最適な国ランキング」(エコノミスト誌の調査部門EIUによる)で、
前回1位(82ヵ国中)のシンガポールが再びトップに選ばれていました。
つまりこの調査の中においては、「Best place in the world to do business」ということになります。


ちなみにシンガポール以下は、
2位 スイス
3位 香港
4位 カナダ
5位 オーストラリア 

と続き、アメリカが7位、イギリスは22位
そして日本は27位と、韓国とチェコに挟まれているという微妙なポジション。

政治、マクロ経済、マーケット、インフラ、税金などなど色んなものがファクターとして考慮され、シンガポールは、
不正の少ないこと(curruption-free)、環境がクリーンなこと(pollution-free)、あと海外からの駐在者にとって
暮らしやすい点なども評価されていたみたいです。


例えば、法人税(corporation tax)の税率を調べてみると、シンガポールが17%、香港が16.5%と、日本から
見れば半分ぐらいと大きな開きが。(イギリスは2014年現在で21%

マーケットにしても、シンガポールそのものの魅力は大きくなくとも、成長率の高い他の東南アジアの国々へ
の「ハブ」(hub)になれることがポイントであって、これは日本もなかなか真似のしようがありません。

あと、ランキングのものさしに含まれているのかわかりませんが、シンガポールや香港が、英語圏の国である
ことも明らかに影響しているような気がします。

「言葉の壁」(language barrier)というのはどうしても避けられないもの。
日本に出張したイギリス人の話を聞いていても、電車の移動やホテルの滞在などは問題ないのですが、
ひとたび街に出ると英語表示は限られてしまうので、フラッとその辺のレストランに入ってみるとか、道をその
辺の人に尋ねてみるとか、思うように振る舞えないというのはやっぱりストレスになるようですね。
フラフラと街を歩き、黄色い看板に吸い寄せられて、「松屋」とかに入って、食券マシンのボタンを勘で押して
みたり、というアドベンチャーが生まれたりするわけです。(当たればいいですが・・・)


このランキングが低くても、それだけ自分の国の産業が成熟していて、投資をする側に立っているという見方
もできるでしょうから、悪いことだとは全く思いません。
気になるのは、「ドイツ並みを目指す!」などと意気込んで、貴重な財源であるはずの法人税を下げようとした
り、特にマーケットもないのに外資を呼び込もうとしてみたりという今の日本の政策でしょうか。シンガポール、
香港とはまた違う未来図を描かないといけないはずであり、減税とインフラ整備でお金だけ使って、外資は
誰も来なかったという中途半端なことにならなければいいのですがね。

■法人税(corporation tax)
■不正、汚職(curruption)
■言葉の壁(language barrier)

APECでの日中首脳会談、これはイギリスのメディアにもしっかりと取り上げられていました。

安倍首相が声をかけるもそれには応えてもらえず、何とも言えない感じで握手している様子がテレビに新聞に・・・。それでも、経済力で世界No.2とNo.3のトップ同士がようやく協調する姿勢を見せ始めたということで、
(中身はどうあれ)やはり注目はされるものです。


以前の記事(※「財政問題 ジョージとボリスの中国ツアー」)でも少しご紹介したように、イギリスは中国からの投資(investment)を呼び込むために、あの手この手を尽くしています。

世界の金融センターとしての強みも発揮し、ここ数年は中国の通貨である「人民元」(renminbi)の取り扱い拡大に力を注いでいて、今年に入ってからは国債の人民元建て発行までやっていますし、今のイギリスは明らかに日本よりも中国の方を向いていると言えるでしょう。


ちなみに、ガイドブックにも載っているロンドンの「チャイナタウン」(Chinatown)。
これは意外に小さくて、普通にサカサカ歩くと、端から端まで5分もあれば見れてしまいます。
横浜の中華街のスケールとは比べものにならず、お店の種類も、レストランの味のレベルも全く違うので、あまり期待して行くとガッカリするかもしれません。
それでも「Chinese new year」という言葉など大抵のイギリス人が知っていますし、華やかなイベントとしてのイメージが定着。また最近再放送をやっているドラマ「シャーロック」のお話の中でも中国文化が登場したりと、着実にイギリスの中に根を下ろしているような気がします。


もう何年も前、「日本は世界第二位の経済大国」と学校で教わった時には、自分は何も貢献してなくとも、なんとなく誇らしい感じがしたのを覚えています。
しかし、中国の経済成長の勢いはすさまじく、2010年にはGDPでNo.2の座を譲り渡し、今では日本の2倍ほどにも膨れ上がり、もはや追いつけるレベルではありません。

「中国のGDPが膨らむのは人口のおかげだ!」「一人あたりGDPではまだまだ日本の方が上なんだ!」
と言う人たちもいますが、どうなんでしょうか。

確かに中国はまだまだ貧富の差も大きく、洗練された経済とは言い難く、環境的にも良くないですし、どちらの国に住みたいかと聞かれれば、やはり日本を選ぶでしょう。

しかし、人口というのはパワーの源。これからの伸びしろが中国側には大いに残されているわけですから、「国力」の話をするならば、「一人あたり~」のような効率性の指標はちょっと場違いです。
実際イギリスの視線の先にあるのは、成熟した日本ではなく、あの巨大な購買力(purchasing  power)とマーケット、そして何より成長の可能性なのですから。

■GDP per head/capita (一人あたりGDP)
■economic growth (経済成長



PA050010

華やかでない写真が撮れました。
まあ普段はこんなものでしょう。



またここ最近、EU(European Union)のことが話題になっています。
最近というより、もう常連のトピックスですかね。


EUを運営して、政策を実行するための予算(budget)には、EU加盟国からの分担金というのが欠かせない
財源です。
負担する金額はそれぞれの国の経済活動の大きさによって毎年決められることになっていて、いくつかの国
は追加で負担が求められ、いくつかの国はお金が戻ってくるという「調整」が毎年行われます。

今回の場合、イギリスに対して、21億ユーロ(約3,000億円)という追加払いの「請求書」(bill)が一方的に叩き
つけられました。もちろんオランダやイタリアなど、他の一部の国も「払い側」に回っているのですが、イギリス
に課された額がケタ違いに大きいということで注目されているわけです。

ただでさえ反EUのムードが高まりつつある中、保守党にとってはダメージとなる追加請求(surcharge)。
イギリス政府としては、「受け入れられない!」「払わないぞ!」と強い口調で怒りを表明していましたが、
それからわずか2週間ほどで妥協案で合意したようです。

どんな内容か見てみますと・・・

①当初支払額は21億ユーロ(17億ポンド) → 将来EUから払い戻される「rebate」(※)と相殺して半額
②当初支払期限は2014年12月 → 2015年7月と9月の分割払い(installment)に。

※rebateというのは、日本でも「リベート」とよく言うように、「(何かの割合に基づいて)返ってくるお金」のこと
です。EUが集めたお金は、イギリスとは比較的関係の薄い農業政策に使われるポーションが多いため、
イギリスは分担金を支払った後に、rebateという形で払い戻しを受けられるようになっています。
今回のケースでは、将来の払い戻しを前倒しして、請求額と相殺できるということにすぎないので、トータルで
みれば「減額」とは言えません。


そもそも、統計データを元に計算して決めた分担金の額をEUが免除するとも思えません。
下手に抵抗し、EUとの交渉を続けていれば、支払の減額はおろか、遅延利息まで上乗せして支払う羽目に
なり、交渉で費やされた政府の貴重な時間と労力はムダになり、しかもEUとの関係は悪化するだけ・・・という
最悪シナリオが濃厚だったでしょう。そうなれば、野党の攻撃の的になり、国民からの批判も避けられません。
(ちなみに仮に支払を無視し続ければ、利息だけで年間1~2億ユーロにもなると言われています)

それならばrebateの先取りも一つのマジックとして活用しつつ、支払条件を緩めたことを国民にアピールし、
早くケリをつけてしまった方が得策。
イギリス人らしいといえるのか、言葉とは裏腹に、sensibleな決断をしてくるものです。

■rebate(払い戻し金)
■installment(分割払い)
■surcharge(追加請求)

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