Kind Regards。

英国ネタをこつこつ載せてまいります。

イギリスのキホン

前回の続きです。

イギリス版消費税は「VAT」(valued added tax)と呼ぶのでした。
2014年現在、税率(tax rate)は20%に設定されていますが、ベーシックな食料品、書籍、新聞、子供服など、
生活に必要なものにかかってこない点は日本と違っています。

なので、「日本は外国に比べて消費税率が低い!もっと引き上げるべきだ!」という主張は、大筋では理に
かなっていても、それだけではちょっと乱暴だということになるでしょう。


さて、「ぜいたく品(luxury goods)に課税する」という、このVATのコンセプト。
実際何に課税されて、何に課税されないか、ボーダーラインを探ってみると結構面白かったりします。
イギリスのスーパーなどで商品の値札を見ても、ただ金額が表示されているだけなので、そもそもそれが
税金対象になっているモノかどうか、パッと見ではわかりません。

ここで少しご紹介をば。
(※厳密には「0%税率(zero-rated)適用」ですが、ここではわかりやすく「非課税」とします。)


・肉や魚、野菜や果物、このあたりは大丈夫。基本的に課税されません。

・飲み物系は、ミルク、紅茶、コーヒーなどは非課税で、お酒やジュースは課税。ミネラルウォーターもなぜか
課税。「水道水(tap water)を飲め!」ということでしょうか。

・お菓子系はやはり「ぜいたく」とみなされるのか、スナックもスイーツも課税されるものが多いです。

しかし同じチョコレートビスケットでも、チョコチップは非課税で、チョコレートでコーティングされていると課税
これは使っているチョコレートのボリュームが重要ということでしょうか。
(試しに、オレオのチョコビスケットと、マクビティのDigestiveチョコビスケットを買って、レシートをチェックして
みたところ、前者は非課税、後者は課税でした・・・。)

他にも
・殻に入ったままのナッツは非課税で、殻から出ているものは課税。
・リンゴ飴(toffee apple)は非課税で、砂糖やチョコでコーティングされたフルーツは課税。

などなど

こうして見ると、同じスイーツでも、素朴なもの、手間のかかってないもの、イギリスの伝統的なお菓子etc
には税をかけない、というトレンドが何となく見えてきます。


イギリスの「歳入関税庁」(HMRC)というお役所が出している税のルールブックのようなものがあるのですが、
追いかけていくほどに迷宮の奥へと導かれていき、理解不能になっていきます。

もしこんな分類を日本でもやられたら、スーパー、コンビニなど、小売りで働く人たちはたまらないでしょうね。


■生活必需品(essential goods, essentials)、ぜいたく品(luxury goods, luxuries)
■免税(exempt)

この「消費税」(sales tax, consumption tax)、今日本でホットな話題の一つではないでしょうか。

日本では2014年4月から税率が8%へと引き上げられ、さらにここから第二弾としての増税(tax hike)を実施
するかしないかという分かれ目にあります。もし政府によってGOサインが出されれば、2015年10月から税率
が10%に引き上げられるというスケジュール。

・・・だったのですが、ここに来て増税の先送りが濃厚になってきています。
(politicalなことを別にすれば)理由はもちろん、景気への影響を気にしてのこと。


振り返ってみると、消費税が3%から5%になったのが1997年ですから、「5%時代」というのは実に17年
続いたわけです。

今年4月からの3%アップは、普通につつましく暮していれば大した負担にはならないはずですが、高級品
の買い控えは当然あったでしょう。増税前に日用品のまとめ買いをしたという話だってよく聞きましたし、
自分自身も日本でのショッピングにブレーキがかかるようになった感がありますから、単純にデータや算数
だけで語れる問題ではないでしょうね。
あまりにも5%の現状維持(status quo)に慣れきってしまったところへの久々の増税は、寝ているところに
氷水を浴びせるようなもので、国民心理的には結構なダメージだったのかもしれません。

そして、17年振りにショックを与えてから1年もしないうちに、次の追加増税をバーンと決定してしまえば、
さらに私たちの買い物欲を冷やしてしまうのは間違いないでしょう。

「そんなのは心理的なことじゃないか!」と言われそうですが、今の政府や日銀のねらいの一つは、まさに
国民の「期待」(expectation)を上向かせてデフレから完全脱却することにありますので、心理というのは
なかなか馬鹿にできないと思います。日本の財政の立て直しがいくら急務でも、景気が冷え込んでは元も
子もありません。


さて、イギリスにもこの手の消費税はちゃんとあって、その名も「Value Added Tax」、略して「VAT」と
呼ばれます。日本語に訳せば、「付加価値税」ですね。

この「VAT」はイギリス独自の税金ではなく、EUの法律によって加盟国での課税が義務付けられているもの。
ただしその税率は各国でコントロールしていて、現在イギリスは「20%」に設定しています。

「20%も!!」と思われるかもしれませんが、全てに課税されるわけではないところが日本との違いです
基本的には野菜や肉などの食料品にはかかりませんし、本や新聞も対象外。
「付加価値税」という名前のとおり、ぜいたく品に税が乗っかってくるというイメージでしょう。


■消費税(sales tax, consumption tax)、付加価値税(VAT, value added tax)
■増税(tax hike, tax rise)

前回、前々回とイギリスの所得税に関するご紹介をしたのですが、
ちょっと自分が誤解をしていたことがわかり、この記事で修正をさせて頂ければと思います。
(親切にメッセージを下さった方がいて、そのおかげで気付くことができました。この場を借りて、お礼と
 おわびを申し上げます。)


何かというと、日本とイギリスとでは、所得税の計算の仕方が違うということです。


日本の税率は、今の時点で「6段階」だとご紹介しました。(2015年から7段階に)

195万円以下:5%
330万円以下:10%
695万円以下:20%
900万円以下:23%
1,800万円以下:33%
1,800万円超:40%

例えば課税所得が500万円のケースだと、上のテーブルから税率20%(100万円)が課せられる
ことがわかります。


一方、イギリスの税率は3段階。

(※personal allowance差し引きのベース)
    1~31,865ポンド :20%
31,866~150,000ポンド :40%
    150,000ポンド超   :45%

例えば、所得が50,000ポンドのケースを考えてみますと・・・
まずは「personal allowance」の10,000ポンドが控除できるので、課税所得は40,000ポンドになります。
(ちなみに10,000ポンドを差し引けるこのallowanceも、所得が100,000ポンドを超えてくると徐々に減ってくる
仕組み。)

この次が問題で、40,000ポンドを上のテーブルで探すと「40%」のレンジに入るので、「一律40%もかけられる
のか」と思ってしまったのですが、そうではありません。
31,865ポンドまでの所得についてはあくまで20%が適用されて、それを超えた部分(8,135ポンド)については
40%を適用する
という見方をするのです。

これで実際に税額を計算してみると、
①31,865ポンド×20%=6,373ポンド ②8,135ポンド×40%=3,254ポンド  ①+②=9,627ポンド
と、一律40%で計算した税額16,000ポンドを大きく下回ります。
(実質的にはあんまり「セレブな」税率とは言えないですね)


つまりイギリスの税率表は、人を特定のレンジに選り分けるための表ではなく、人の課税所得を税率別に振り
分ける表であるということがわかります。

もちろんこのやり方であっても、中間層にとっては、所得が増えれば増えるほど、40%に絡め取られる部分が
増えますので、日本よりハードであることには変わりないでしょう。

前回の続きです。

もし保守党(Conservative)が2015年の総選挙で勝利し、再び政権をとることになれば、2020年までに
所得税(income tax)をカットするという方針を出しています。

具体的には・・・

①「personal allowance」と言われる、課税されなくて済む最低所得を拡大(10,000ポンド⇒12,500ポンド)②40%の高税率がかけられる所得のレンジを縮小

これをまとめてみると、下のようになります。

◆現在
(0%    10,000ポンド以下 )
20%   10,001~41,865ポンド 
40%  41,866~150,000ポンド 
45%         150,000ポンド超     
※ただし10,000ポンドはallowanceとして控除可能

◆将来
(0%    12,500ポンド以下 )       広がる
20%  12,501~50,000ポンド     広がる
40%  50,001~150,000ポンド    縮まる
45%    150,000ポンド超      
※ただし12,500ポンドはallowanceとして控除可能

上の書き方ではちょっとわかりにくいかもしれませんが、要は今まで20%を払っていた人の一部が0%のレンジ
に入り、今まで40%を払っていた人の一部が20%のレンジに入るということです。(もし実現されれば)

・・・日本人から見れば、これでも十分に高いような気が。。
これが実現しようがしまいが、40%枠に突入するぐらいなら、むしろお給料を減らしてくれた方がマシだという
人は結構いることでしょう。 
 ⇒ これは間違い 「発見と修正 イギリスの所得税(3)」


ただ、このプランは「unfunded tax cut」だという批判も浴びています。
つまり、「税金をカットするのはいいけれど、減った税収の穴埋めはどうするんだ?」という指摘ですね。

この所得減税プランによって減ってしまう政府収入は、年間70~80億ポンド(1.3兆円ほど)。
少しでも財政赤字を減らしていきたい状況の中、結構大きな数字です。

日本のなだらかな「6段階」税率と違って、イギリスの「3段階」はその段差がまるで「崖」のようであり、
特に、最もレンジが広く、人数も多い中間層(middle class)の部分は、ちょっと動かしただけでもそのイン
パクトは大きくなります。
政府にとってみれば、税収が減ってしまう代わりに、ここをいじれば票の獲得にもつながりやすいという
一つのツールのようなものなのでしょう。


日本の場合、法人税(corporation tax)を意地でも下げようとしていますが、異常とも言える財政赤字の中、
せっかく確保している財源を手放す必要があるのですかね?
再三言われているように、アベノミクスで恩恵を受けているのは企業サイド(+資産を持つ個人)ですから
ちょっとはバランスを取ればいいのにと思います。

■tax cut, tax reduction (減税)

本当はもっとイギリスの暮らしとか文化を紹介できるような記事を増やしたいなあと思うのですが、
話の流れということで、もう少しだけニッチ(niche)なネタを続けます。


前回の記事で、国会議員のトピックスに関係して、税金の話が出てきました。

日本では消費税(sales tax、consumption tax)を10%に引き上げるかどうか、決断の時が迫っていますし、
イギリスでも総選挙をにらみつつ、各党がそれぞれのスタンスを打ち出しています。

しかし数ある税金の中でも、私たちの暮らしに一番ダイレクトに効いてくるのが「所得税」(income tax
ではないでしょうか。
この所得税は、収入の高い人ほど多く払うように、所得のレンジによって違う税率が設定されているもの。
いわゆる累進課税というやつで、このコンセプト自体は日本もイギリスも同じです。


今の時点(2014年度)で、日本とイギリスの税率(tax rate)を比べてみましょう。

まず日本では、このレンジは6段階だということがわかります。

①5%  (195万円以下)
②10% (330万円以下)
③20% (695万円以下)
④23% (900万円以下)
⑤33% (1,800万円以下)
⑥40% (1,800万円超)


イギリスの場合はどうでしょうか?

①0% (10,000ポンド以下) ※最低税率は20%だけれど、10,000ポンドまでは控除可能ということ。
②20% (31,865ポンド以下) 
③40% (150,000ポンド以下)
④45% (150,000ポンド超)

つまり、ゼロというのを別にすれば、20%、40%、45%の3パターンの税率しかないわけで、しかも③の
「31,866~150,000ポンド」のレンジがものすごく広いことがわかります。

お金持ちが「45%」を支払うのは別にいいにしても、中間層にいる人たちから一律「40%」を持っていく・・・、
これって結構キツイと思います。40%というと、日本での最高税率ですからね。
よく日本で、「いやー、稼いでるといっても半分ぐらいは税金ですよ!」などと芸能人が言ってたりしますが、
イギリスでは普通のサラリーマンたちがこれに近い感覚を味わっているということになります。

一国の経済規模に対する税収(tax revenue)のポーションは、イギリスの方が日本よりも若干高く、これは
おそらくこの所得税の影響が大きいのでしょう。

日本もイギリスも国の収支は赤字ですが、日本の方が重症であり、増税トレンドは避けられません。
個人的には、日本の消費税が8%に上がってからというもの、「もったいないかな・・・」「今あるもので何とか
しよう」などと思うことが増えて、買い物にブレーキがかかるようになりました。10%に上がったら、なおさら
そうなるでしょう。

それでも消費税というのは、その名のとおり、私たちがお金を「使う部分」に対してかかってくる税金であり、
お給料からダイレクトに掴み取っていく所得税を引き上げられるよりは、まだマシだということです。
これに関しては日本のマイルドさが国民へのメリットになっている感じですかね。

■income tax(所得税)
■taxable income(課税所得)

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