Kind Regards。

英国ネタをこつこつ載せてまいります。

2014年10月

イギリスは「肥満」(obesity)の多さでは世界でもトップクラスの国。
確かに太った人をよく見ますし、その太り方というのも日本とはちょっとスケールが違います。

そんな中、「お酒に含まれているカロリー(calorie)も実はかなりのものであり、もっと意識を高めるべく、
ラベルに表示すべきではないか」とニュースでやってました。
ちょっとショッキングだったのは、大きいグラス1杯のワインに含まれるカロリーが「ドーナツ1個分」だと
言っていたところ。


ちなみにイギリスのパブ(pub)などでグラスワインを注文すると、よく「large or small?」などと聞いてきますが、
largeを頼むと結構な量が出てきて、満足度は高いです。
上で出てくる「大きいグラス1杯」というのは量にして250ml。ボトル1本が750mlですから、3分の1ということに
なりますね。
日本だと、ものすごく立派なグラスを持ってきて期待させておきながら、いざ注がれてみると「たったこれだけ
・・・」というお店もありますから、前もってちゃんと決まっているというのはいいことかもしれません。


このお酒とカロリーの話は、日本でも結構気にされるトピックスではないでしょうか。

「度数が高いお酒ほど太るのだ」
「アルコールのカロリーは栄養として吸収されないから大丈夫。オツマミこそが敵だ。」
「フランス人が太っていない秘訣はきっとワインだ。飲んだ方がいい。」
etcetc

人と話していても、もっともらしいものから怪しいものまで色んな意見があって、結局何が正しいのかよく
わかりません。

自分の場合、寝る前についつい飲んでしまうのですが、3日で1本のボトルを空けるペース。
ちょうど「large glass」を1日1杯飲んでいる計算なので、ニュースの内容を信じるならば、毎晩寝る前に
規則正しくドーナツを1個食べていることになります・・・。

まあ、どれだけ値段を上げられても愛煙家がタバコを買い続けるように、いくらカロリー高しと言われても、
いくら「ドーナツ●個分」と言われても、お酒を愛する人はなかなかやめないでしょうね。


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↑ 日本では珍しいギリシャ(Greece)のワインなどもスーパーで買えたりします。


■obese (肥満の)、obesity(肥満)

イギリスと日本の国会議員の収入をざっと比べてみましょう。

2014年度のイギリスの議員のお給料(salary)は、年間67,060ポンド
円に直すと、大体1千万円ぐらいでしょうか。

これに加えて、交通費、滞在費、スタッフの人件費など、政治活動で実際に使用したものについては、
経費(expense)として請求可能。
ただし中身は、前回ご紹介した「IPSA」という独立機関にチェックされて、ウェブ上で公開されます。
※「IPSA」についてはこちら⇒ 経費スキャンダル -again and again-


一方日本を見てみますと・・・。

◆基本給として月額129万4千円
◆「期末手当」という名のボーナスが500~600万円程度

合わせて年収は大体2千万円といったところでしょうか。
この時点で既にイギリスの議員の2倍もらっています。

さらに、「文書通信交通滞在費」という名目で、月額100万円の支給。よって年間1,200万円。
(ネーミングもすごいですけど、「100」というのが何かこう・・・、いかにもな感じですね。)

名前のとおり、この中から普段の活動費を使っていくわけですが、もし余ったとしても課税されないので、
使わなければまるまる手元に残せることになります。
そして、どれだけ純粋に使われて、どれだけ議員の財布に残ったのか、私たちが知ることはできません。

また、月額100万円を受け取っていながら、なぜか電車や飛行機のチケットなどが別途支給されていますし、
立派な議員宿舎だって用意されているわけですから、ダブルカウント感は否めません。

ちなみにイギリスで公開されている議員別のデータから交通費・滞在費の一人あたり平均を出してみると、
年間2万ポンド(約350万円)の中に十分収まってます。わざわざ数字を持ち出すまでもなく、一人につき年間
1,200万円も要らないでしょうね。

もちろん議員の場合、本来の責任の大きさと、会社員のような終身雇用(lifetime employment)がないこと
を考えれば、多少優遇されるのは仕方ありません。
しかし今の日本のやり方ではあまりにも筋が通らず、ここはイギリス流に、
①使った分だけ請求 ②独立した機関がチェック ③データ公開 を徹底してからの優遇にしてほしいもの
です。


さて、日本で出てくる経済指標もぱっとしない中、それでも消費税増を押し切って決めるかどうかという大事な
局面ですが、どうなるんでしょうね。
賃金は上がらないのに物価は上がり、税金も上がる。それでも「仕方ない」で多くの人が我慢してきている
中でのスキャンダルですから、10%への増税は国民感情的に許せなくなったという部分もあるでしょう。

小渕氏の一件で得をするのは与党を攻撃できる野党ですが、かといって今のザルのようなチェック体制が
イギリスのように生まれ変わるとも思えませんし、むしろ責任追及で国会にムダな時間が生まれて、進める
べき法案が後ろ倒しになり、それが税金の機会ロスになり・・・、結局損をするのは国民です。

■travel expense(交通費)、accommodation expense(滞在費)
■allowance (手当)
■sales tax, consumption tax(消費税)


日本では経産相の辞任(resignation)が近いとニュースになっています。

いつものことながら、なぜこういうトピックスはスキャンダル的に突然出てくるのですかね?
報道では「2010年、11年の収支に差額が・・・」と当たり前のように言っていますが、普通に考えれば、
2010年の記録をまとめた関連書類は11年に所定の監査(audit)を受けるでしょうから、問題があったと
すればそのタイミングで指摘されなければおかしいわけです。

それに、収支報告書で観劇ツアー代として参加者から受け取った代金(収入)と、後援会が負担した支出
に差があるなどというのも、素人が調べてもわかりそうなものであって、専門的でも複雑な話でも何でもあり
ません。「何年もかけて追及し、ついに発見しました!!」という類のものでもないでしょう。
企業の会計監査に比べれば、政治団体の帳簿の監査など何でもないと思うのですが・・・。

小渕氏の責任はもちろん問われるべきなのでしょうが、ベビー用品がどうだとか、ネギがどうだとか、週刊誌
的な個人叩きに向かってしまうならば、フォーカスはどんどん逸れていくような気がします。
今回のようなことは氷山の一角だと思っている人がほとんどでしょうし、国の組織から独立した第三者が
チェックし、データを公開する法を整備しなければ、また同じ問題がどこからか出てきて、政権叩きのツール
にされるだけでしょう。


じゃあイギリスは完全にクリーンなのかというとそうでもなく、確かにこの手の問題はありました。

2009年のこと、更なる情報公開を求める声が高まる中、国会議員が請求(claim)した経費の詳細もきちんと
開示すべしということになり、その準備が進められていました。
ところがこの情報が正式公開される前に新聞社に流れてしまい、あらいざらいの情報が国民の目に晒される
ことに・・・。
調査(investigation)ではかなり細かな部分まで追及を受け、過大請求が明るみに出る度に世論の怒りは
膨れ上がり、閣僚も辞職するという一大スキャンダルに発展しました。一部の議員は実刑判決も受けていた
はずです。

注目したいのは、このスキャンダルの後、「IPSA」(Independent Parliamentry Standards Authority)という
独立機関がつくられた点で、ここが議員の使った経費データの管理と公開をするようになりました。

オンラインで情報公開していますから、誰でも簡単にアクセスできます。
プルダウンから検索する年度を選び、選挙区(constituency)や議員(MP)の名前を選ぶと、誰がどの経費を
いくら使ったのかハッキリと出てきます。さらにトータル金額をクリックすると、件別のディテールが現れて、
例えば交通費であれば、何月何日、どこからどこまで移動したのかまで確認できるようになっているのです。

「ルールや透明性はまだまだだ」という声もあるものの、日本に比べればずっとクリアだと思いますし、少なく
ともフェアな方向に持っていこうという意志を感じます。

人間のやることですから、イギリスも日本も似たようなリスクは抱えているもの。しかし、ひとたび重大な問題
が起きた時に、そこからのリカバリーは迅速で、しかも徹底しています。これは日本との決定的な違いでしょう。


■expense (経費)、expenses scandal(経費スキャンダル)
■tip of the iceburg (氷山の一角)

せっかくイギリスまで行くからには、ついでにフランスも・・・という方は多いのではないでしょうか?
ヒースローからシャルル・ド・ゴールまで飛んでもいいのですが、やはり「Eurostar」(ユーロスター)
という国際列車に乗った方がずっと便利です。
ロンドンからパリ、さらにブリュッセルと、美食の国・ベルギーにも2時間ちょっとで行ける優れもの。

飛行機とは違って、30分前までにチェックインすればよいので時間にムダがありませんし、
セキュリティも液体物をわざわざ取り出さなくていいですし、新幹線に近い感覚で乗れるので、とても
ラクなのです。


さて、このユーロスターというのは、電車の名前であり、また会社の名前でもあります。
フランスとベルギーの国鉄がそれぞれ55%、5%の株を、残り40%はイギリス政府がもっていると
いう「インターナショナル国営企業」といったところ。
その便利さから利用者数も利益も順調に伸び、配当(dividend)も出せるようになるまで成長しました。

そんな風に価値が上がってきたこの株式を、イギリス政府が民間に売却するということでニュースに
なってましたね。

政府の資産を売ってしまって、少しでも借金(debt)を返していこうという、財政問題への取り組みの
一環ということです。この話は以前から出ていたのですが、来年5月の総選挙までには済ませてしまい、
何か成果を見せたいというところなのでしょう。


このニュースで思い出すのが、ちょうど1年ぐらい前にイギリス政府が実施した、「Royal Mail」と
いう郵便会社の株式売り出しです。(イギリス版・郵政民営化の最終ステップ)

当時議論になったのが、その価格。
市場デビューする時の売り出し価格をあまり高く設定すると買い手がつきませんし、あまり安く
設定すると売り手にメリットがありませんので、会社の価値に見合った程よい価格をつけないと
いけないわけです。

イギリス政府は「330p」と値付け。(※pはペンス)
しかしいざ蓋を開けてみると、買いが集まり400pオーバーに。それから数カ月、500p、600pと
上がってくるにつれて、「最初の価格が安すぎたんじゃないか!?」「国の財産を安売りしたんじゃ
ないか!?」と批判する人たちも増えました。

その後ピークを打った後は、株価はズルズルと下がり、今日の時点では420pほど。
この先どうなるかはわかりませんが、日本のように保険・銀行などの金融事業もなく、基本的に
郵便・小包だけの会社ですから、そんなに期待が膨らむ株でもありません。
そう考えれば最初の価格もリーズナブルな範囲だったんじゃないかと思えます。

そして次に控えるこの「ユーロスター株」。
これは入札(bid)で買い手を募るだけなので、Royal Mailとはやり方が違いますが、また同じような
議論は出てきそうです。


■IPO, Initial Public Offering (新規株式公開)
■privatisation, privatization (民営化)

今から約1年後、2015年9月から、ロンドン地下鉄が週末のみ24時間運行を始めるそうです。
その名も「Night Tube」(ナイト・チューブ)。

ロンドンでは地下鉄のことを「Underground」といいますが、丸っこくて細長いので「Tube」という
愛称でも呼ばれるのです。日本人にはカマボコに見えるのですが・・。


そういえば1年ぐらい前に、結構大掛かりな地下鉄のストライキがあったのを思い出しました。
これは「ticket office」(窓口のこと)に人を配置するのをやめて、自動販売機に切り替えていくと
いう経営側のリストラ案に反発してのこと。

同情の声もありましたが、いざストが始まってみると、情報は錯綜するわ、道は車で溢れ返るわ、
バスも混むわで、大混乱。利用者は随分ひどい目にあいました。

その後、長く組合のリーダーをやっていた人物が病死。今回このNight tubeを開始する日付も
組合側に知らされないままメディアにリリースされたとかで、労使のコミュニケーションもいまだに
ちぐはぐです。

このNight Tube、便利といえば便利なのでしょうが、別に無くてはならないものでもないでしょう。
ロンドンはそんなに夜遅くまで色んなお店が開いているわけでもないですし、イギリス版居酒屋の
「パブ」(pub)だって、ほとんどが夜12時には店仕舞いするので、大きな経済効果はないような気が
します。

確か、都バスの夜間運行導入の時、ロンドンの「Night Bus」を引き合いに出してましたね。
当時、あたかも海外が進んでいて、東京がbehindであるかのようなことをメディアが煽ってましたが、
そうではないでしょう。
「昼間に働いている人間が深夜まで街で遊んでも(or 働いても)、帰宅に便利!」という前提がまず
気持ち悪いですし、どれだけのコストをかけて、どれだけの経済効果があったのか気になります。
カジノにしたってそうですが、何でも海外の真似をすればいいというものではありません。
国のパワーを使って、雇用を増やして、残業減らして、有休の促進でもした方が、よっぽど消費が
増えるような気がするのですがね。

なのでこの「Night Tube」、個人的にはあまり興味がなくって、いつでもなんでもそろう、日本のコンビニ
の24時間サービスの方がよっぽどありがたいです。

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こんなレトロな感じの窓口も。
全部閉まるのはちょっとさびしい気もします。


■strike, walk-out(ストライキ)
■trade union, union(労働組合)
■restructuring plan(リストラ案)

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