特にクリスマスセールはイルミネーションも華やかで、興奮度が上がります。
中国人の購買力(purchasing power)というのはやはりすごくて、若い人たちが超高級ブランドの
大きな袋をいくつも提げている光景は、もはやロンドンで当たり前になってきました。
かつてはバブル期の日本人がそれに近かったらしいですね。
イギリス人にとってみれば、「私たちよりもいい物買って!」と思ってしまうでしょうが、ロンドンに
お金を落としてもらうことで景気も良くなるので、国としては大歓迎。中国に対してビザ発給の要件
を緩めるなど、この流れをサポートしています。
彼らの視野にあるのは観光客ばかりではありません。
中国からイギリスに大規模な投資(空港建設など)を呼び込みたいという意図もあって、ちょうど
今から1年ほど前には、財務大臣とロンドン市長(ボリス・ジョンソン)の二人がかりで中国を訪問、
北京の大学生たちとも交流しつつ、関係改善&強化を図ってました。
「ハリー・ポッターの最初のガールフレンドは中国人ですよ!」
「もっとイギリスに留学に来て下さいよ!」
「私たちが見たいのは中国人観光客ですよ!」
「私たち二人は陰と陽(ying and yang)ですよ!」
・・・最後のはちょっとよくわかりませんが、まあこういうサービストークも披露しつつ、更なる投資
(investment)を呼び込むべく懸命にアピール。イギリスのメディアでは大きく報道されていました。
もちろん国がかりで外資を引っ張ってこようとするその背景には、イギリス国内の苦しい台所事情
が関係しています。
財務大臣のことをイギリスでは「Chancellor」(チャンセラー)と呼び、現在は「ジョージ・オズボーン」
(George Osborne)が務めています。現在43歳ですから、この人も若いですよね。
イギリスも他の国に負けず劣らず巨額の借金を抱えていて、財政問題というのは政治の中で絶対に
避けられないトピックスの一つ。スコットランド独立をめぐる議論の中でも、もし独立した場合には
この負債をどう切り分けるのかが一つの大きな焦点になってました。
国として今の時点でどれぐらい借りているのか、おおざっぱな数字で表してみると・・・
◆イギリス: 約1.5兆ポンド (250兆円ぐらい)
◆日本 : 約1,000兆円
ただし国の借金はその金額だけを眺めてもよくわかりません。
身の丈にあった借入であるかどうかを測るために、その国の経済規模(GDP)との比較、いわゆる
「GDP比」で語られることが多いですよね。
イギリスの場合はだいたい100%。
日本だと200%。(これは世界でワースト1。年収500万円の人が1,000万円の借金をしているイメージ
でしょうか)
こうして比べると、日本の借入規模というのは際立ちます。
毎年少しずつでも返済ができているのならばまだしも、収入よりも支出の方が大きく、むしろ借入残高
が増えているのはイギリスも日本も同じです。
ただしイギリスは5月に総選挙を控えているので、保守党としてもなかなか増税プランは出しにくいところ。
もし今の政権が続くとするならば・・・・
◆イギリス: 税金(政府収入)はカット、そのかわり政府支出もカットして赤字削減。
◆日本 : 政府支出カットは難しいので、税金(政府収入)をアップして赤字削減。
と、状況は似ていても、ちょっと違う方向性で赤字削減に取り組むのでしょうか。
ちゃんと実現するかどうかはわかりませんが・・・。
国の財政問題については、誰がファイナンスしているのか(誰が貸しているのか)という視点も必要
なので、一概に借金の大きさだけで善し悪しを語ることはできません。
しかし、毎年発生する赤字額、累積した圧倒的な借入残高を考えると、日本の状況というのはやはり
普通ではありませんね。
■debt(債務)、debt-to-GDP ratio(債務のGDP比)、borrowing(借入)
■deficit(財政赤字)、surplus(黒字)