Kind Regards。

英国ネタをこつこつ載せてまいります。

2014年12月

前回の続きです。


◆ゴールデンカレー(中辛)

イギリスのスーパーで、たまに「ゴールデンカレー」のルーを見かけることがあります。
私が見たことあるのは中辛(mild)タイプかつ100gの小箱のみで、なぜか他を見かけません。

これがイギリスでは2.29ポンド。

日本ではこのサイズ、この味をあえて買う人が少ないのか、検索してもなかなかヒットしません。
S&Bのホームページに180円とありましたから、これを使いましょう。

ゴールデンカレー指数(中辛):「1ポンド=79円」


ちなみに、「ルー」というのは、「roux」というフランス語。
なので「カレールー」は、「curry powder」とか「curry paste」などと言わないと、英語では通じません。
特に、イギリスでは「ルー」と言えば「loo」のこと。「トイレ」の意味になってしまいます・・・。



さて、闇雲に比べまくった中でも、前回のヤクルトあたりから、敢えて比べるアイテムを徐々に「日本的なモノ」に傾けてみました。指数の比較対象としてはフェアではないはずです。

「ビッグマック指数」(Big Mac index)の一つの欠点は、本当にビッグマックは世界中の人にとって同じ価値があるのか?というところにあります。つまり、そもそもハンバーガーは欧米人の好きな食べ物であって、日本人にとってはそこまでではないという、好みのバイアス(bias)があるんじゃないかということです。

「醤油」や「カレールー」などは極端な例で、日本人には当たり前なものでも、イギリス人にとっては買う人の方が少数派。インターナショナルに値段を比較するのに適当なアイテムでは全くなく、生活感覚レートの「1ポンド=100円」をも割り込み、イギリスで割高な値付けがされていることがわかりました。
イギリス人が醤油を買うというのは、日本人がグレービーソースとか、バルサミコ酢を買うようなものなのでしょうかね?



為替レートは、貿易、金利、中央銀行の動きなどに加えて、投機的な(speculative)トレードも入り混じって決まるブラックボックス的な性格が強いですから、この手の指数で将来のレートを占う人はあまりいないでしょう。

じゃあ全く意味のない指数なのかというと、私はそうでもないと思っています。
こうしてモノによって比べた指数が、明らかに異常値を叩きだしているのであれば、どちらかの国の値付けが偏っているんじゃないか?という想像ができますからね。


◆タクシー初乗り料金

例えば、以前の記事でもご紹介したように、ロンドンタクシーの初乗り料金(minimum fare)は2.40ポンド。
東京の価格である730円と比べると、「1ポンド=304円」となり、これは明らかに今まで見てきた指数たちに対して、ギャップがありすぎます。

それもそのはず、日本のタクシー運賃は、国が初乗り料金のレンジを高い水準に固定してしまっていますから、
本来起こるべき競争が制限されています。
慣れてしまえば、「タクシーって高いよね」で終わりですが、このような国際比較してみてるとそれが浮き彫りになり、「ちょっと日本はおかしいんじゃないの?」と、私たちにアラームを与えてくれるわけです。


◆マルボロ

あとはタバコ(cigarette)。
普段買わないので全くわかりませんが、イギリスではマルボロが一箱8.97ポンドというのを発見。
日本では一箱460円とありますので、これを同様にレートにしてやると、「1ポンド=51円
これはタクシーとは逆の方向に大きなギャップがあり、イギリスがどれだけタバコに対して高い税金をかけているのかよくわかります。


最近のルーブルの動きなどを見てもあらためて思いますが、「適正な為替レート」なんていうのは、実は幻のようなものじゃないでしょうか。
ポンドそのものが割高なのか、割安なのか?にハッキリとした答えはなさそうですが、「個別のモノやサービスが割高なのか、割安なのか?」を比べてみるのは、なかなか実用的で面白いかもしれません。


■お手洗い、トイレ(toilet, restroom, loo)
■偏り(bias)
■投機(speculation)、投機的(speculative)

最近日本では値上げ(price hike)のニュースが目立ちます。

その中でも、「吉野家が80~120円値上げ」というのは結構びっくりしましたね。
いくら円安の影響とはいえ、そこまで転嫁させるほど牛肉のボリュームが多いとも思えませんが・・・。
今までの価格競争(price competition)で削られてきた分まで取り戻そうということでしょうか。

おいしいラーメン屋がない!と言われていたロンドンに、今年「一風堂」ができた時には話題になりましたが、今のところ吉野家などの牛丼系のお店というのが全然ありません。
別に好物でなくとも、長い間食べていないと頭の中で変に美化されてしまうもので、牛丼が至上の一品のように思える時があります。

でもいざ食べるときっと普通なんでしょうね。



さて、前回の続きで、もうちょっとだけアイテム比較をしてみたいと思います。


◆ハーゲンダッツ(Haagen Dazs)

このハーゲンダッツ、イギリスでも人気はあります。
いかにも北欧を思わせるヨーロピアンな名前ですが、実はアメリカ発のアイス。
HPを見てみると、「ハーゲンダッツ」という名前に深い意味はない、と堂々と説明しています。

日本では最近、このハーゲンダッツも値上げを発表していました。小さいカップで272円(税抜)になるそうですから、税込にすれば294円。
一方イギリスでは1.70ポンドとあるので・・・、

ハーゲンダッツ指数:「1ポンド=173円」


もともと日本ではブランド感が高すぎるんじゃないかというイメージを持ってましたが、それがここに少し現れている感じでしょうか。



◆タバスコ(Tabasco)

日本でもおなじみのタバスコ。
いつも衝動的に買って、そのままお蔵入りに・・・。まだ家にあることを忘れて、また新しいやつを買ってしまったりします。使い切るのがなかなか難しい調味料の一つではないでしょうか。

イギリスではピザの消費量が多いからか、チリソース、チリオイルの種類も豊富な気がします。
ややブランド感のある日本と違って、タバスコはあくまでチョイスの一つという感じでしょうか。

イギリスで2ポンド、日本で230円ぐらいということで、

タバスコ指数:「1ポンド=115円」


普通で、あまりおもしろくありません。



◆ヤクルト(Yakult)

イギリスのスーパーにもちゃんと置かれている「ヤクルト」。
おなじみの赤いキャップと、カロリー控えめの「Light」という青いキャップの2種類が売られています。

イギリスだからサイズが大きいということはなく、あの容器が7本セットで、2.75ポンド。
日本では5本セットが200円ぐらいですから、1本あたり価格では、それぞれ0.40ポンドと40円でしょうか。

ヤクルト指数:「1ポンド=100円」


ヤクルトもまた、日本で値上がりしたアイテムの一つ。
増量しつつ、値上げするというのはよくある話ですが、ヤクルトの場合は、「乳酸菌シロタ株」を増量して値上げするという戦法に出ました。
菌が150億個から200億個に増えてるらしいのですが、これはちょっと違いがよくわかりません。



◆キッコーマンの醤油(KIKKOMAN soy sauce)

イギリスでもお寿司の存在感があるからか、スーパーの大きな店舗に行けば、かなりの確率でキッコーマンの醤油(soy sauce)を置いています。
しかもあの昔ながらのフォルムで、赤いキャップの醤油差し入り。


IMG_1291


どうせ買うならお得なペットボトル入りを買いたいところなのに、イギリスのスーパーで日本の醤油と言えば、なぜかこれを一番見かけます。

最初のうちは何かに使えるかもしれないと思って、空いた醤油差しを大事にとっていましたが、よく考えれば他の何かに使えるような形でもなく、溜まる一方なので捨てました。


ちょうどこの前買ったばかりで、イギリスでは2.49ポンド。
値段に幅はあれど、日本では220円ぐらいでしょうか。

(昔ながらの醤油差し入り)キッコーマンの醤油指数:「1ポンド=87円」


ついに100円を割ってきました。


■値上げ(price hike)、価格競争(price competition)
■醤油(soy sauce)、魚醤・ナンプラー(fish sauce)

ニュース記事を見る限り、やっぱり日本のマクドナルド、苦戦しているみたいですね。
そもそも高いお金を出してまで食べたいものでもありませんから、当然といえば当然かもしれません。

確かマクドナルドはヨーロッパ全体でも売上(sales)は下落していて、その中でなぜかイギリスだけが好調のようです。言われてみれば、ロンドンの街中でマックの前を通りかかると、いつも人で溢れて、大繁盛しているように見えますからね。

ちなみに、ヨーロッパの中で肥満(obesity)が多いのもイギリスです。



さて、前回ご紹介した「ビッグマック指数」(Big Mac index)。

自分で勝手に計算したものは、「1ポンド=125円」となりましたが、お店によって値段が違いますし、あくまで参考にすぎません。

でもこれ、ビッグマック以外で比べるとどうなるんでしょう??

せっかくギモンに思ったので、小売のお店のディスカウントとか税金とか、細かいものは無視するとして、お遊び程度に比較をしてみたいと思います。



◆キットカット(KitKat)

キットカットの中には、スニッカーズみたいに太いバー状のやつがあります。
これはイギリスでは0.60ポンド、日本では100円といったところでしょうか。

キットカット指数:「1ポンド=166円」

同じプレーンなものでも、日本のキットカットとイギリスのでは味が違うんじゃないかと思うのですが、イギリス人にはなかなか認めてもらえません。イギリスの方が甘い気がするのですがね・・・。

バリエーションは明らかに日本の方が豊富。「スイカ味」とか懐かしいです。


◆コカコーラ(Coca Cola)

もちろんイギリス人にも人気のコカコーラ。500mlのペットボトルが、イギリスでは1.25ポンド。
日本では値上げがあって今は自販機価格で160円なのですかね?

コカコーラ指数:「1ポンド=128円」

ちなみに、このような炭酸飲料のことを「fizzy drink」といいます。


◆コノスル(Cono Sur)ワイン

有名なチリのワインで、ラベルに自転車のイラストが描かれているやつです。
これは日本でも普通にコンビニで買えますね。

2013年のメルロー、ピノ・ノワールが、イギリスで7ポンド、日本で800円程度でしょうか。

コノスル指数:「1ポンド=114円」

セレクションの豊富なイギリスではあまり飲むことはありませんが、日本で「ちょっと外に出てワインを買って飲みたい」という時に、コストパフォーマンスも良く、重宝します。


・・・・・結局バラバラでよくわかりません。

この指数(1ポンドの価値)が高いほど、「そのモノ」を買うにあたって、ポンドという通貨の購買力が強いと言えます。だからマーケットの為替レートも、やがてはその水準に落ち着くのではないか??という見方をするのですが、当然「そのモノ」が何かによって、ばらつきがあるということが良くわかります。

それに、通貨のパワーバランスを素直に表しているというよりは、単にそのモノの日本での値付けが、イギリスに比べて割高なだけかもしれませんので、本当に参考程度の指標でしょう。

ちなみに上の「~指数」という名前は私が勝手に付けただけですが、スターバックスの「トール・ラテ」を使った
Tall Latte index」というのは実在します。


それでもこうして並べてみると、生活感覚為替レートの「1ポンド=100円」と、今のマーケットレートである「1ポンド=180円台」と比べて、飛びぬけておかしなレートというのもありません。

もうちょっと続けてみます。

■肥満(obesity)
■炭酸飲料(fizzy drink)

為替レートの続きです。

マーケットで決まる為替レートとは別に、イギリスでの実生活の上では「1ポンド=100円」の感覚、と書きましたが、多分これは、アメリカでもカナダでもオーストラリアでも、かなりの国に当てはまるのではないかと思います。

先進国であれば、「ワンコイン」で買えるモノというのは大体同じでしょうし、お札にしたって1枚出して買えるモノはそんなに変わらないでしょう。為替など考えなければ、単に自分の国の通貨で、自分の国のモノを買うわけですから、「1ポンドと100円」、「10ポンドと1,000円」のように、キリの良い金額の外貨の価値が同じだと感じるのは、ごく当たり前なことなのかもしれません。

ま、あくまで感覚の世界ですが・・・。


ところで、為替レートと言えば、「ビックマック指数」(Big Mac index)というのを思い出します。

これは何かというと、為替レートが(長い目で見て)どのレベルに落ち着くか、目安になるとされる指標の一つ。
(「Economist」誌考案ということで、イギリス生まれと言えるでしょう)

ビックマックのように世界共通のモノなら、どこの国で売られていても価値は同じはずであって、ここからあるべき為替レートが計算できる、という考え方がベースになっています。

例えば、ビッグマックがアメリカで3ドル、日本で300円で売られていたら、この指数は「1ドル=100円」。
もしこの時、マーケットのレートが1ドル=120円だったら、「今はちょっとドルが割高なんじゃないか」と言える(かもしれない)、ということですね。


この理論の賛否(pros and cons)はさておき、値段を比べてみるのは面白いものです。


この前久々に食べたビッグマック。単品で2.89ポンドでした。
日本の価格をさっと調べてみると、360円?でしょうか。 とすると、「1ポンド=125円」ぐらい。

実際の今時点のレートは、1ポンド=185円台レベルですから、かなりギャップが開いていることになります。
一方、生活感覚レートである、1ポンド=100円にはやや近し。


また、お店にあったメニュー表をチラッと見ると、確かフィレオフィッシュも同じく2.89ポンドだったと思います。
日本だと270円?でしょうか。これなら「1ポンド=93円」ぐらいと、さらに現実から遠ざかります。

日本の方が割安なのは、コストの問題なのか、人気の問題なのか・・・?
好みの分かれるフォレオフィッシュで比べてはいけないということでしょうか。


しかし今になって気付きましたが、日本もイギリスも、マクドナルドってウェブサイトでメニューの値段を表示してないんですね。

日本のサイトで調べていたら、もともとは「都道府県別に6段階」に分けていた価格体系を見直して、去年の9月から「立地によって9段階」へと細分化を始めた、というような記事を見つけました。
(それまで6段階に分かれていたことすら知りませんでしたが・・・。)

「立地によって」というのは、集客が常に見込める一等地では高くし、郊外では低くするということらしいです。
ビッグマックを例にとると、それまでの290~340円の価格レンジが、以降は310~390円のレンジとなり、幅を持たせつつ、全体でも確実に値上がっている感じでしょうか。

価格戦略(pricing strategies)と言えば聞こえはいいですが、「モノは同じなのに場所代を上乗せする高い店舗がある」というイメージしか湧きません。これは新幹線の中のサンドイッチや、ホテルの中の缶ビールに近い感覚ですかね。


別にいいのですが、たまにしか食べないという人は、お店によって10円、20円の違いがあることには気付かないでしょうし、何より「値上げ」とハッキリ言わないあたりが、なんかズルく思えます。

ちょっと前には鶏肉の事件もありましたし、確かその前には「60秒サービス」といって、制限時間内に商品を出さなければ無料券を進呈!というのを始めたときにはびっくりしましたね。現場で働く従業員が気の毒としか言いようがありません。


なんか話が逸れましたが、とりあえず「ビッグマック指数」で為替レートを占うのは無理がありそうです。


■ビックマック指数(Big mac index)
■賛否(pros and cons)

今イギリスで注目したいものの一つは、「為替」(foreign exchange)ではないでしょうか。

多分日本のニュースでは「ドル円」レートばかりが報道されるのでしょうが、ポンド円の方も当然動いていて、先週は189円台にまで上がってきました。
まあ、ポンドが高くなっているというよりも、円が全面的に安くなっているといった感じです。

2、3年前はポンドが110円台、120円台という時もあったわけで、そこから比べるとかなりのギャップ。
イギリスでショッピングする時、まともに日本円に換算していると、多分サイフを開くことができません。


なにかしら具体的に挙げてみますと・・・

コンビニや駅のキオスクなどで水のペットボトルを買うと、大体1ポンドです。
お昼にサンドイッチとコーヒーを買うと、5~6ポンド。
マッサージを40分受けると、40ポンド。

こんな風に実生活の中で考えると、マーケットで決まる為替レートとはまったく別に、1ポンド=100円の感覚で使われていることに気付きます。
日本の「100円ショップ」ならぬ、何でも1ポンドで買えるという「pound shop」だってありますからね。

なので、「イギリスの物価は日本に比べてこんなに高い!!」などという紹介をされることがありますが、どちらの国が高いかというのは、本来単純には比較できないものです。


それに、「物価」とひとことでいっても、何が高くて何が安いか、その国によって結構違ったりするもの。
例えばイギリスでは、りんごの5個入り袋などが1ポンドで買えたり、あらゆる国のワインが5ポンドから10ポンドの価格レンジで幅広く選べたりするわけで、これは日本より断然安いと言えるでしょう。

交通機関(transport)にしてもそうで、よく引き合いに出されるロンドン地下鉄の運賃が割高である一方、タクシーはそうでもありません。
ちょうど昨日タクシーに乗る機会があって、10ポンド払ったのですが、初乗り運賃(minimum fare)は2.40ポンド。これも「1ポンド100円理論」で考えれば、意外に日本よりも気軽に利用できるということがわかります。

ただしこれは、イギリスでお給料をもらって、イギリスで生活する上ではリーズナブルだというだけの話。
日本からやってきて日本円をポンドに両替することを考えれば、10ポンドを買うのに2,000円近くも必要になるわけですから、あんまり気軽にタクシーを使うわけにもいきません。


けれど、イギリスで生活していたとしても、日本人は日本人。
どれだけ1ポンドは100円なんだと自分に言い聞かせたところで、頭の片隅では、「これって円に直したらゴハン3回分になるな・・・」とどうしても考えてしまうのが正直なところです。実際日本に帰って両替すれば、それだけの価値があるわけですからね。


これからクリスマスセールのシーズン。
ディスカウント幅が大きいだけでなく、値引かれるブランドも幅広いので、ショッピングが好きな方はこのシーズンにあえてイギリスを旅行するというのもアリだと思います。

でももし日本で同じ商品が売られていた場合・・・。
円に直してみたら、実はセールで買ったものが全然お買い得じゃなかった!ということにもなりかねませんから、この為替というのは本当にやっかいです。

■為替(foreign exchange, FX)、為替レート(foreign exchange rate, exchange rate)
■交通機関(transport)
■初乗り運賃(minimum fare)

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