Kind Regards。

英国ネタをこつこつ載せてまいります。

2014年11月

11/28(金)は「ブラックフライデー」と呼ばれる日でした。

「ブラックフライデー」(Black Friday)というのは、アメリカの感謝祭の翌日金曜日のことで、色んなお店で
大安売りセールをやります。アメリカ発のセールがいつからかイギリスにもやってきて、当日一部の量販店で
見られた、テレビやゲーム機を奪い合う暴動さながらの様子がニュースで何度も流れていました。
レスリング状態の客たちに、「Stop!!!!」と叫ぶ店員と、まさにカオス(chaos)。


思い返してみれば、ここまでの揉みくちゃに巻き込まれた経験といえば、電車のラッシュを別にすれば、
子供の頃に連れられて行った神社でのイベントでしょうか。(よくテレビでやっている、福餅か何かを参拝客に
放り投げるやつですね。)
これは結構すごくて、まさに福をめぐるバトルということで、子どもなどが参加するとケガをしかねません・・・。
伝統とはいえ、神様の前で人々の欲が渦巻くという、なかなか不思議な光景です。

今にしてみれば、なんであんなもののために人は群がるのかと思いますが、新年のカウントダウンだって人は
集まりますし、福を得るために神木をケンカのように奪い合ったりするお祭りだってありますし、理屈だけでは
語れません。


さて、ブラックフライデーを見ていると、日本の初売りを思い出します。

服に関して言うならば、初売りなどで、「安いから」「お得だから」という理由だけで買ったものはあんまり着な
かったりしますよね。
一方、値段にかかわらず100%気に入ったものは、特別な時(special occasion)にだけ大事に着ようとして、
結局クローゼットに眠っていたりします・・・。
結果、「まあまあ気に入った」というものが、意外にも一番よくローテーションされていたりするので、なかなか
ショッピングも奥深いものだなあと思います。何事もほどほどが一番良いということでしょうか。

「アイロン不要」とか「ストレッチ入り」とか、機能面だって大事ですし、お得感だけでお金を出すのももったい
ないので、最近はバーゲンでの買い物が昔に比べて減っている気がしますね。


ブラックフライデーのセールで、大きなディスカウントでテレビを買った人たち。
彼らが自分たちで使うのか、あるいは誰か他に売ってしまうのかわかりませんが、セールで買い物をする時
には、「テレビというのは相場でこれぐらいの値段だろう」というのが既に頭にあって、今回の買い物でどれだけ
自分が得をするのか、暗にざっくりとした計算をするものです。
これは理屈の世界。

もうひとつは、お店に「100ポンドoff!」と言われれば、それはつまり100ポンドそのまま得したことになると
思い込んでしまうという、心理の世界もあります。
もしかしたらその商品は単に元々高いだけかもしれませんし、あるいは値引きでもしなければライバル商品
には到底勝てないものなのかもしれません。

となれば、この心理を利用した商法というのも当然出てきます。
例えばイギリスのテレビで流れる家具のコマーシャルなど見ていると、年中ディスカウントをやっているところ
があって、
£980  Now £545  などとアピールしています。

もちろん「おっ」と心惹かれる表示ですが、いつお店に行ってもこんなバーゲンをやっていると、これはさすがに
何か裏がありそうだと疑いますよね。

ディスカウントと言いながら、結局元の値付けが高いだけじゃないか!?ということで、確かBBCの番組で
取り上げていた記憶があります。
私たちがあまり情報を持っていない商品、普段買わないような高級品などは特に注意ということでしょうね。

続きは次回に。

■セール(sale, bargain)、ディスカウント(discount)
■特別な機会(special occasion)

住むだけのコストならば、今ロンドンが世界で一番高い都市。
そして、服とか食べ物とか、もっと広い種類の物価も含めたランキングでは、シンガポールが東京を抜いて、
1位に躍り出たという記事を以前ご紹介しました。


今回見つけたのは、「ビジネスをするのに最適な国ランキング」(エコノミスト誌の調査部門EIUによる)で、
前回1位(82ヵ国中)のシンガポールが再びトップに選ばれていました。
つまりこの調査の中においては、「Best place in the world to do business」ということになります。


ちなみにシンガポール以下は、
2位 スイス
3位 香港
4位 カナダ
5位 オーストラリア 

と続き、アメリカが7位、イギリスは22位
そして日本は27位と、韓国とチェコに挟まれているという微妙なポジション。

政治、マクロ経済、マーケット、インフラ、税金などなど色んなものがファクターとして考慮され、シンガポールは、
不正の少ないこと(curruption-free)、環境がクリーンなこと(pollution-free)、あと海外からの駐在者にとって
暮らしやすい点なども評価されていたみたいです。


例えば、法人税(corporation tax)の税率を調べてみると、シンガポールが17%、香港が16.5%と、日本から
見れば半分ぐらいと大きな開きが。(イギリスは2014年現在で21%

マーケットにしても、シンガポールそのものの魅力は大きくなくとも、成長率の高い他の東南アジアの国々へ
の「ハブ」(hub)になれることがポイントであって、これは日本もなかなか真似のしようがありません。

あと、ランキングのものさしに含まれているのかわかりませんが、シンガポールや香港が、英語圏の国である
ことも明らかに影響しているような気がします。

「言葉の壁」(language barrier)というのはどうしても避けられないもの。
日本に出張したイギリス人の話を聞いていても、電車の移動やホテルの滞在などは問題ないのですが、
ひとたび街に出ると英語表示は限られてしまうので、フラッとその辺のレストランに入ってみるとか、道をその
辺の人に尋ねてみるとか、思うように振る舞えないというのはやっぱりストレスになるようですね。
フラフラと街を歩き、黄色い看板に吸い寄せられて、「松屋」とかに入って、食券マシンのボタンを勘で押して
みたり、というアドベンチャーが生まれたりするわけです。(当たればいいですが・・・)


このランキングが低くても、それだけ自分の国の産業が成熟していて、投資をする側に立っているという見方
もできるでしょうから、悪いことだとは全く思いません。
気になるのは、「ドイツ並みを目指す!」などと意気込んで、貴重な財源であるはずの法人税を下げようとした
り、特にマーケットもないのに外資を呼び込もうとしてみたりという今の日本の政策でしょうか。シンガポール、
香港とはまた違う未来図を描かないといけないはずであり、減税とインフラ整備でお金だけ使って、外資は
誰も来なかったという中途半端なことにならなければいいのですがね。

■法人税(corporation tax)
■不正、汚職(curruption)
■言葉の壁(language barrier)

先月(2014年10月)に続いて、3つ目の補欠選挙が「Rochester and Strood」という選挙区(constituency)
で実施されました。地図で見てみると、ロンドンから南東に車で1時間というところでしょうか。


「補欠選挙」というのは、議員が何らかの理由で欠員になってしまった時に、そのまま空席にするわけにも
いかないので、誰か代わりを選ぶ選挙のこと。英語では「by-election」といいます。

ここの選挙区の議席が空席になってしまった理由は、以前にもご紹介した「defection」によるもの。
言ってしまえば議員による「党の鞍替え、裏切り」のことで、元々は保守党(Conservative)として選ばれて
いた国会議員(MP)だったのに、「UKIP」(イギリス独立党)という別の政党に寝返ったことで、「いざ再選挙!」
となったわけです。

※これまでの経緯はこちらへ。
補欠選挙(2) 「UKIP “650分の1”からのスタート」
補欠選挙 「"defection" 首相へのバースデープレゼント?」



気になる結果は・・・

UKIP                16,867  (42%)
Conservative   13,947  (35%)
Labour               6,713   (17%)
Green                1,692      (4%)
Lib Dem               349      (1%)
Others                   497     (1%)

と、UKIPの快勝
今回寝返ってUKIPとして再出馬した候補、「Mark Reckless」という人物が、また晴れてHouse of Commons
の国会議員となりました。


メンツにかけても死守したかった保守党はあえなく敗れ、
労働党(Labour)は今の劣勢をそのまま反映しての大敗、
自由民主党(Lib Dem)にいたってはボロボロ。(前回7,800の得票から、今回は349に激減)


UKIPにとっては、(先月に続けて)ウェストミンスターにおける二つ目の議席を獲得したことになります。
今回イギリスのメディアがやや大きめに取り上げているのは、その勝利の持つ意味がより重くなってきて
いるからでしょう。

今回の選挙区はイギリス全国の中においても、別に貧しいエリアというわけでもなく、保守党がある程度地盤
にできていた場所。つまり、来年の総選挙(general election)を占うという意味では、前回の補欠選に比べて、
よりバロメーター的な役割を持っていたと言えます。
いくら来年までの「つなぎ」議員とはいえ、今のUKIPの勢いを表すというか、今の政権へのNO、労働党への
NOの声がかなりハッキリと聞こえ始めたという感じでしょうか。


2015年5月に総選挙を控えるイギリス。補欠選挙が「練習」なら、総選挙は「本番」のようなものです。
国中がUKIPに支配される心配などは誰もしていないでしょうが、二大政党の大苦戦は誰の目にも明らか。

今のトレンドが続けば、もし彼らがまた第一党になれたとしても、過半数の議席までは確保できないという
「宙ぶらりん国会」(hung parliament)になる可能性がますます高くなっていると言えるでしょう。
しかも、自由民主党(Lib Dem)がこれほどの状態で大敗しているわけですから、2010年の時と違って、
今度は連立相手を見つけることもままならないかもしれないですね。

■離脱、背信(defection)
■宙ぶらりん国会(hung parliament)、ねじれ国会(twisted parliament)



前回の続きです。

イギリス版消費税は「VAT」(valued added tax)と呼ぶのでした。
2014年現在、税率(tax rate)は20%に設定されていますが、ベーシックな食料品、書籍、新聞、子供服など、
生活に必要なものにかかってこない点は日本と違っています。

なので、「日本は外国に比べて消費税率が低い!もっと引き上げるべきだ!」という主張は、大筋では理に
かなっていても、それだけではちょっと乱暴だということになるでしょう。


さて、「ぜいたく品(luxury goods)に課税する」という、このVATのコンセプト。
実際何に課税されて、何に課税されないか、ボーダーラインを探ってみると結構面白かったりします。
イギリスのスーパーなどで商品の値札を見ても、ただ金額が表示されているだけなので、そもそもそれが
税金対象になっているモノかどうか、パッと見ではわかりません。

ここで少しご紹介をば。
(※厳密には「0%税率(zero-rated)適用」ですが、ここではわかりやすく「非課税」とします。)


・肉や魚、野菜や果物、このあたりは大丈夫。基本的に課税されません。

・飲み物系は、ミルク、紅茶、コーヒーなどは非課税で、お酒やジュースは課税。ミネラルウォーターもなぜか
課税。「水道水(tap water)を飲め!」ということでしょうか。

・お菓子系はやはり「ぜいたく」とみなされるのか、スナックもスイーツも課税されるものが多いです。

しかし同じチョコレートビスケットでも、チョコチップは非課税で、チョコレートでコーティングされていると課税
これは使っているチョコレートのボリュームが重要ということでしょうか。
(試しに、オレオのチョコビスケットと、マクビティのDigestiveチョコビスケットを買って、レシートをチェックして
みたところ、前者は非課税、後者は課税でした・・・。)

他にも
・殻に入ったままのナッツは非課税で、殻から出ているものは課税。
・リンゴ飴(toffee apple)は非課税で、砂糖やチョコでコーティングされたフルーツは課税。

などなど

こうして見ると、同じスイーツでも、素朴なもの、手間のかかってないもの、イギリスの伝統的なお菓子etc
には税をかけない、というトレンドが何となく見えてきます。


イギリスの「歳入関税庁」(HMRC)というお役所が出している税のルールブックのようなものがあるのですが、
追いかけていくほどに迷宮の奥へと導かれていき、理解不能になっていきます。

もしこんな分類を日本でもやられたら、スーパー、コンビニなど、小売りで働く人たちはたまらないでしょうね。


■生活必需品(essential goods, essentials)、ぜいたく品(luxury goods, luxuries)
■免税(exempt)

この「消費税」(sales tax, consumption tax)、今日本でホットな話題の一つではないでしょうか。

日本では2014年4月から税率が8%へと引き上げられ、さらにここから第二弾としての増税(tax hike)を実施
するかしないかという分かれ目にあります。もし政府によってGOサインが出されれば、2015年10月から税率
が10%に引き上げられるというスケジュール。

・・・だったのですが、ここに来て増税の先送りが濃厚になってきています。
(politicalなことを別にすれば)理由はもちろん、景気への影響を気にしてのこと。


振り返ってみると、消費税が3%から5%になったのが1997年ですから、「5%時代」というのは実に17年
続いたわけです。

今年4月からの3%アップは、普通につつましく暮していれば大した負担にはならないはずですが、高級品
の買い控えは当然あったでしょう。増税前に日用品のまとめ買いをしたという話だってよく聞きましたし、
自分自身も日本でのショッピングにブレーキがかかるようになった感がありますから、単純にデータや算数
だけで語れる問題ではないでしょうね。
あまりにも5%の現状維持(status quo)に慣れきってしまったところへの久々の増税は、寝ているところに
氷水を浴びせるようなもので、国民心理的には結構なダメージだったのかもしれません。

そして、17年振りにショックを与えてから1年もしないうちに、次の追加増税をバーンと決定してしまえば、
さらに私たちの買い物欲を冷やしてしまうのは間違いないでしょう。

「そんなのは心理的なことじゃないか!」と言われそうですが、今の政府や日銀のねらいの一つは、まさに
国民の「期待」(expectation)を上向かせてデフレから完全脱却することにありますので、心理というのは
なかなか馬鹿にできないと思います。日本の財政の立て直しがいくら急務でも、景気が冷え込んでは元も
子もありません。


さて、イギリスにもこの手の消費税はちゃんとあって、その名も「Value Added Tax」、略して「VAT」と
呼ばれます。日本語に訳せば、「付加価値税」ですね。

この「VAT」はイギリス独自の税金ではなく、EUの法律によって加盟国での課税が義務付けられているもの。
ただしその税率は各国でコントロールしていて、現在イギリスは「20%」に設定しています。

「20%も!!」と思われるかもしれませんが、全てに課税されるわけではないところが日本との違いです
基本的には野菜や肉などの食料品にはかかりませんし、本や新聞も対象外。
「付加価値税」という名前のとおり、ぜいたく品に税が乗っかってくるというイメージでしょう。


■消費税(sales tax, consumption tax)、付加価値税(VAT, value added tax)
■増税(tax hike, tax rise)

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