Kind Regards。

英国ネタをこつこつ載せてまいります。

2014年10月

せっかくイギリスまで行くからには、ついでにフランスも・・・という方は多いのではないでしょうか?
ヒースローからシャルル・ド・ゴールまで飛んでもいいのですが、やはり「Eurostar」(ユーロスター)
という国際列車に乗った方がずっと便利です。
ロンドンからパリ、さらにブリュッセルと、美食の国・ベルギーにも2時間ちょっとで行ける優れもの。

飛行機とは違って、30分前までにチェックインすればよいので時間にムダがありませんし、
セキュリティも液体物をわざわざ取り出さなくていいですし、新幹線に近い感覚で乗れるので、とても
ラクなのです。


さて、このユーロスターというのは、電車の名前であり、また会社の名前でもあります。
フランスとベルギーの国鉄がそれぞれ55%、5%の株を、残り40%はイギリス政府がもっていると
いう「インターナショナル国営企業」といったところ。
その便利さから利用者数も利益も順調に伸び、配当(dividend)も出せるようになるまで成長しました。

そんな風に価値が上がってきたこの株式を、イギリス政府が民間に売却するということでニュースに
なってましたね。

政府の資産を売ってしまって、少しでも借金(debt)を返していこうという、財政問題への取り組みの
一環ということです。この話は以前から出ていたのですが、来年5月の総選挙までには済ませてしまい、
何か成果を見せたいというところなのでしょう。


このニュースで思い出すのが、ちょうど1年ぐらい前にイギリス政府が実施した、「Royal Mail」と
いう郵便会社の株式売り出しです。(イギリス版・郵政民営化の最終ステップ)

当時議論になったのが、その価格。
市場デビューする時の売り出し価格をあまり高く設定すると買い手がつきませんし、あまり安く
設定すると売り手にメリットがありませんので、会社の価値に見合った程よい価格をつけないと
いけないわけです。

イギリス政府は「330p」と値付け。(※pはペンス)
しかしいざ蓋を開けてみると、買いが集まり400pオーバーに。それから数カ月、500p、600pと
上がってくるにつれて、「最初の価格が安すぎたんじゃないか!?」「国の財産を安売りしたんじゃ
ないか!?」と批判する人たちも増えました。

その後ピークを打った後は、株価はズルズルと下がり、今日の時点では420pほど。
この先どうなるかはわかりませんが、日本のように保険・銀行などの金融事業もなく、基本的に
郵便・小包だけの会社ですから、そんなに期待が膨らむ株でもありません。
そう考えれば最初の価格もリーズナブルな範囲だったんじゃないかと思えます。

そして次に控えるこの「ユーロスター株」。
これは入札(bid)で買い手を募るだけなので、Royal Mailとはやり方が違いますが、また同じような
議論は出てきそうです。


■IPO, Initial Public Offering (新規株式公開)
■privatisation, privatization (民営化)

おそらく日本ではニュースにならないこの補欠選挙(by-election)。
まあイギリスでも、「へえ」という程度のトピックスなのですが、一応ニュースのヘッドラインにはなるので、
ご紹介してみます。
(※前回記事はこちら ⇒ 「補欠選挙 "defection" 首相へのバースデープレゼント?」 )

前回に出てきた「Clacton」という場所で行われた選挙では、保守党を「defect」し、あらためてUKIP代表
として立候補しなおした議員が、事前評判どおり勝利しました。UKIPにとっては記念すべき第一歩であり、
初めて選挙でウェストミンスターの議席を勝ち取ったことになります。

あとで気付きましたが、実は同じ日に、もう一つ他の場所でも同じような選挙をやってましたね。
ここはもともと地盤を持っている労働党が勝利。ただし、UKIPの候補にかなり差を詰められての辛勝です。

この補欠選で当選しても、任期は次の総選挙までの半年ほどですし、ほんの少し未来を占うという程度
のイベントでしょうか。UKIPに勢いがあるのは確かですが、今の時点でウェストミンスターの議席の数から
言えば、「650分の1」の発言権しかありません。

とにかく、「House of Commons」の3つの空席のうち、これで2つが埋まったことになり、残りの1つの議席
は来月の選挙で決まります。


ついでに、今の時点で各党が「House of Commons」にどの程度の議席をもっているか、国会のHPを参考
に載せてみます。
※「House of Commons」についてはこちら ⇒ 「イギリスの政治のしくみ(2) 国会議員と総選挙」


Conservative             303  (47%)
Labour                       257  (40%)
Liberal Democrat       56    (8%)
その他         33     (5%)
Vacant                           1
合計          650

保守党(Conservative)は2010年の選挙で過半数を取れなかったので、3番手のLib Demと連立(coalition)
を組んでいます。
また「Vacant」というのは「空席」のこと。先月は3だったのが、2つの補欠選が終わって、1に減りました。



せっかくなので、日本の衆議院の議席数もみてみます。

自民   294   (61%)
民主   55  (12%)
維新   41    (9%)
公明   31    (6%)
その他  59    (12%)
合計  480

こちらも連立政権。こうして比べてみると、イギリスの二大政党の存在感(9割近くを占める)がハッキリ
際立ちます。
これは選挙システムの違いが影響していて、イギリスでは、その選挙区で票をたくさん取った人が勝ち
という、シンプルな「小選挙区制」(first past the post)を採用しているため、大政党に有利です。
一方、日本は比例代表とのミックスであり、少数政党のシェアが若干高くなっていることがわかります。

イギリス式では死票が多くなるという短所がある反面、ちょっと過激なことを言う政党が出てきたとしても、
簡単には議席をとらせないというディフェンス力があるのは長所と言えるでしょう。


■first past the post (小選挙区制)
■proportional representation(比例代表制)

■wasted vote(死票)

今から約1年後、2015年9月から、ロンドン地下鉄が週末のみ24時間運行を始めるそうです。
その名も「Night Tube」(ナイト・チューブ)。

ロンドンでは地下鉄のことを「Underground」といいますが、丸っこくて細長いので「Tube」という
愛称でも呼ばれるのです。日本人にはカマボコに見えるのですが・・。


そういえば1年ぐらい前に、結構大掛かりな地下鉄のストライキがあったのを思い出しました。
これは「ticket office」(窓口のこと)に人を配置するのをやめて、自動販売機に切り替えていくと
いう経営側のリストラ案に反発してのこと。

同情の声もありましたが、いざストが始まってみると、情報は錯綜するわ、道は車で溢れ返るわ、
バスも混むわで、大混乱。利用者は随分ひどい目にあいました。

その後、長く組合のリーダーをやっていた人物が病死。今回このNight tubeを開始する日付も
組合側に知らされないままメディアにリリースされたとかで、労使のコミュニケーションもいまだに
ちぐはぐです。

このNight Tube、便利といえば便利なのでしょうが、別に無くてはならないものでもないでしょう。
ロンドンはそんなに夜遅くまで色んなお店が開いているわけでもないですし、イギリス版居酒屋の
「パブ」(pub)だって、ほとんどが夜12時には店仕舞いするので、大きな経済効果はないような気が
します。

確か、都バスの夜間運行導入の時、ロンドンの「Night Bus」を引き合いに出してましたね。
当時、あたかも海外が進んでいて、東京がbehindであるかのようなことをメディアが煽ってましたが、
そうではないでしょう。
「昼間に働いている人間が深夜まで街で遊んでも(or 働いても)、帰宅に便利!」という前提がまず
気持ち悪いですし、どれだけのコストをかけて、どれだけの経済効果があったのか気になります。
カジノにしたってそうですが、何でも海外の真似をすればいいというものではありません。
国のパワーを使って、雇用を増やして、残業減らして、有休の促進でもした方が、よっぽど消費が
増えるような気がするのですがね。

なのでこの「Night Tube」、個人的にはあまり興味がなくって、いつでもなんでもそろう、日本のコンビニ
の24時間サービスの方がよっぽどありがたいです。

PA040002


こんなレトロな感じの窓口も。
全部閉まるのはちょっとさびしい気もします。


■strike, walk-out(ストライキ)
■trade union, union(労働組合)
■restructuring plan(リストラ案)

そこまで大きな話題というわけでもありませんが、今日(10月9日)はイギリスの一つの選挙区
「Clacton」(クラクトン)ということろで補欠選挙があります。

「補欠選挙」は英語で「by-election」。
何らかの理由で議員(MP)が職を続けられなくなったとき、そのままにしておくわけにもいかない
ので、臨時的にその選挙区でもう一度選挙をやって、新たに議員を選ぶというもの。

今この話題がよくニュースに登場しているのは、その辞職が健康などのやむを得ない理由からでは
なくて、
「私、よその党に行かせて頂きます」 
という自己都合退職のようなものだからです。(このような「離脱」のことを「defection」といいます)

しかもそれが
①与党・保守党(Conservatives)から、「UKIP」(ユーキップ)という、EU脱退や移民反対を訴える
 右翼的な党への鞍替えであること。
 (※UKIP:「UK Independence Party」(イギリス独立党)の略)

②8月に一人、9月にもう一人と、続けて起こったこと。

で、これから総選挙に向けて地盤を固めたい保守党にちょっとしたショックを与えました。
やたらと「defection」という単語を聞きますから、今のキーワードの一つかもしれません。


この補欠選では、今回保守党を辞めた議員が、あらためてUKIPから立候補して、他の党からの
候補者と争うことになります。

一応またブックメーカーをのぞいてみますと・・・  
UKIP:1/50
※オッズの見方はこちら⇒ 「スコットランドは独立する?(6)」

この選挙区はUKIPに最も有利な場所と言われていて、やはりほとんど勝利が織り込まれています。

ちなみに10月9日は、キャメロン首相の48歳の誕生日。
党を変えるにしても、来年5月の総選挙まで待てばいいものを、なぜこのタイミングなのかと思います。
しかもひと月ズレでパラパラとやってきたので、これは鬱陶しいでしょうね。

■defect(離脱する)、defection(離脱)
■candidate(候補)

ロンドンを訪れる楽しみの一つと言えば、ショッピング。
特にクリスマスセールはイルミネーションも華やかで、興奮度が上がります。

中国人の購買力(purchasing power)というのはやはりすごくて、若い人たちが超高級ブランドの
大きな袋をいくつも提げている光景は、もはやロンドンで当たり前になってきました。
かつてはバブル期の日本人がそれに近かったらしいですね。

イギリス人にとってみれば、「私たちよりもいい物買って!」と思ってしまうでしょうが、ロンドンに
お金を落としてもらうことで景気も良くなるので、国としては大歓迎。中国に対してビザ発給の要件
を緩めるなど、この流れをサポートしています。

彼らの視野にあるのは観光客ばかりではありません。
中国からイギリスに大規模な投資(空港建設など)を呼び込みたいという意図もあって、ちょうど
今から1年ほど前には、財務大臣とロンドン市長(ボリス・ジョンソン)の二人がかりで中国を訪問、
北京の大学生たちとも交流しつつ、関係改善&強化を図ってました。

「ハリー・ポッターの最初のガールフレンドは中国人ですよ!」
「もっとイギリスに留学に来て下さいよ!」
「私たちが見たいのは中国人観光客ですよ!」
「私たち二人は陰と陽(ying and yang)ですよ!」


・・・最後のはちょっとよくわかりませんが、まあこういうサービストークも披露しつつ、更なる投資
(investment)を呼び込むべく懸命にアピール。イギリスのメディアでは大きく報道されていました。
もちろん国がかりで外資を引っ張ってこようとするその背景には、イギリス国内の苦しい台所事情
が関係しています。


財務大臣のことをイギリスでは「Chancellor」(チャンセラー)と呼び、現在は「ジョージ・オズボーン」
George Osborne)が務めています。現在43歳ですから、この人も若いですよね。

イギリスも他の国に負けず劣らず巨額の借金を抱えていて、財政問題というのは政治の中で絶対に
避けられないトピックスの一つ。スコットランド独立をめぐる議論の中でも、もし独立した場合には
この負債をどう切り分けるのかが一つの大きな焦点になってました。

国として今の時点でどれぐらい借りているのか、おおざっぱな数字で表してみると・・・
◆イギリス: 約1.5兆ポンド (250兆円ぐらい)
◆日本  : 約1,000兆円


ただし国の借金はその金額だけを眺めてもよくわかりません。
身の丈にあった借入であるかどうかを測るために、その国の経済規模(GDP)との比較、いわゆる
「GDP比」で語られることが多いですよね。

イギリスの場合はだいたい100%。
日本だと200%。(これは世界でワースト1。年収500万円の人が1,000万円の借金をしているイメージ
でしょうか)
こうして比べると、日本の借入規模というのは際立ちます。

毎年少しずつでも返済ができているのならばまだしも、収入よりも支出の方が大きく、むしろ借入残高
が増えているのはイギリスも日本も同じです。

ただしイギリスは5月に総選挙を控えているので、保守党としてもなかなか増税プランは出しにくいところ。

もし今の政権が続くとするならば・・・・
◆イギリス: 税金(政府収入)はカット、そのかわり政府支出もカットして赤字削減。
◆日本  : 政府支出カットは難しいので、税金(政府収入)をアップして赤字削減。

と、状況は似ていても、ちょっと違う方向性で赤字削減に取り組むのでしょうか。
ちゃんと実現するかどうかはわかりませんが・・・。

国の財政問題については、誰がファイナンスしているのか(誰が貸しているのか)という視点も必要
なので、一概に借金の大きさだけで善し悪しを語ることはできません。
しかし、毎年発生する赤字額、累積した圧倒的な借入残高を考えると、日本の状況というのはやはり
普通ではありませんね。


■debt(債務)、debt-to-GDP ratio(債務のGDP比)、borrowing(借入)
■deficit(財政赤字)、surplus(黒字)


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