Kind Regards。

英国ネタをこつこつ載せてまいります。

2014年09月

9/18、住民投票の日がやってきました。
今現在ロンドンは曇ってますが、北のスコットランドも今日は一日曇りのよう。
(イギリスらしく!)ぱっとしない天気ですが、今回はこれまでにないぐらいの高い
投票率になるだろうと言われています。

イギリスと日本との時差は9時間。日本の方が進んでいます。
(ただし今はまだサマータイムなので、8時間の差)

一応発表されているスケジュール(イギリス時間)によると・・・
◆投票開始:午前7時
◆受付終了:午後10時
◆結果発表:翌日9/19の早朝(6時半~7時半)

つまり日本時間では、9/19(金)の午後2時半~3時半のあたりで、YesかNoかが
わかるということになります。

投票用紙の質問はきわめてシンプル。
"Should Scotland be an independent country?" です。

今日、テニスプレーヤーのAndy Murrayがツイッターでコメントしてました。
"Huge day for Scotland today! No campaign negativity last few days totally swayed
 my view on it. excited to see the outcome. lets do this!"

今まで政治的なことは特に発言してませんでしたが、この土壇場にきて独立派をサポート
しています。
日本人から見れば「イギリス人選手」のMurrayですが、スコットランドの人であることは
意外に知られてないかもしれませんね。

■turnout(投票率)
■electorate(有権者)
■sway(揺さぶる)

イギリスで有名なものの一つに、「ブックメーカー」というのがあります。
要はギャンブル屋さんのことで、町のいろんなところにお店がありますし、もちろん
オンラインでもBETできます。
(日本でも「William Hill」とかはもう有名なのでしょうか?)
スポーツだけでなく、あらゆるイベントを賭け事にしてしまうところがなかなか面白く、
ジョージ王子誕生の時にも、「さあ名前を当てろ!」と盛り上がってましたね。

そして今回のスコットランド住民投票も・・・、やっぱりありました!
「Scottish Independence YES or NO」

気になる今のオッズは、
Yes:19/5 No:2/11 と出ています。

慣れない表示なのですが、「19/5」というのは、「5を賭けて、当たれば5+19=24もらえる」
ということです。
つまり倍率に直してやると、Yes派は24÷5=4.8倍。
No派は「2/11」なので、13÷11=1.18倍ですね。

ここから計算すると、独立派勝利の確率は約20%ということになります。
もちろん「参加者はそう考えている」というデータでしかありませんが、変な数字でもありません。
今の環境、入ってくる報道、人との会話、自分の考えetc総合して、20%というのは感覚的に実に
ストンと腑に落ちる数字のような気がします。

■poll, opinion poll, survey (世論調査)


今はイギリスのニュースを見るとこの話題で持ち切りですね。
「もういい加減飽きた!」と言い始める人もいるぐらいです・・。

さて、独立すると経済へのリスクがあると言いますが、スコットランドの経済規模って実際どれぐらいなんでしょう?試しにBBCの記事に載っていた「一人当たりGDP」の値に、スコットランドの人口(5.3百万人)を掛けてみると、ざっくり25兆円ほどになることがわかります。
これは神奈川とか埼玉とかと同じレベルです。ギリシャもこれに近いですね。

※ちなみに日本のGDPは大体500兆円。イギリスのGDPはその半分ほどですが、人口も 半分ほどなので、一人当たり(per capita, per head)でみると同じようなものです。

もちろん、だからどうでも良いというわけではありません。
独立すると、通貨の問題を筆頭に、国の借金や年金の分割やら、現実的な問題は山積みで、これは誰もが認めています。
ただでさえユーロ圏の景気回復も失速気味ですし、ウクライナ情勢もまだまだ燻り続けてますし、スペイン、イタリアへの独立運動への波及なども指摘されてます。

企業だって、実際に投票の結果を見てみるまでは、具体的な対策など取りようがありませんし、いざ独立が決まった時の混乱は未知数でしょう。

ギリシャ危機を引き合いに出すのは変かもしれませんが、いくら経済規模が小さくても、「読めない不安、わからない怖さ」がつきまといます。接戦となれば、なおさらですね。

■ripple effect (波及効果)

イギリスの国会議事堂は、ウェストミンスターというところにあります。
テムズ川沿いにあり、かの有名な「Big Ben」の隣にある建物ですね。

スコットランドが連合王国に組み込まれたのは1707年のこと。
イングランドとは度重なる戦争の歴史もあり、彼らにとってもちろん併合は本意では
ありませんでした。しかしUKの一員になってからも、粘り強く自治を求めてきた結果、
1997年、ついにスコットランド議会の設立が認められることに。
約300年振りの自分たちの議会です。

※現在独立キャンペーンを引っ張っているアレックス・サモンドは、このスコットランド
 議会の第一党であるSNP(スコットランド国民党)のトップ。「First minister」などと
 呼ばれます。

この議会でスコットランドが決められる物事のことを「devolved matters」といいます。
日本語に訳すと、「(ウェストミンスターから)委任された物事」でしょうか。
ただしこの委任の範囲はごく限られていて、外交、防衛など重要な分野は、引き続き
ウェストミンスターで決定されます。(これを「reserved matters」といいます)

現在ウェストミンスター側(独立反対派)は、もしスコットランドがUKに留まるならば、
今ある自治の権利を拡大することを約束しており、懐柔策も巧みに利用している状況。

■ devolved matters(委任された物事)、devolution(委任)




同じトピックスばかりで申し訳ないですが、めったにないイベントですので、もうちょっと
続けてウォッチしてみたいと思います。

Financial Timesが実施した調査によると、アンケートに協力したスコットランド大手企業
のうち85%が、もしも独立が決まった時にはイングランドへの移転を検討するだろうと回答
したそうです。
確かに民間企業にとってみれば、独立の大きなメリットはこれといって無さそうなんですよね。
むしろ目につくのは経済的なリスクばかり。

特に銀行にとっては深刻です。
仮に独立したとしても、いきなりスコットランド独自の通貨が生まれるわけではありませんが、
スコットランドの銀行にお金を預けている資産家にとってみれば、「今イギリスポンドで持って
いる資産が、いずれ価値が目減りするかもしれない!」と不安になるでしょう。
どんどん不安が大きくなり、やがてイングランドの銀行にお金を移し始めるかもしれません。
これは「お金の逃避」であり、英語で「capital flight」と呼ばれます。
今の時点では、まだまだ見極めムードであり、大規模なcapital flightは起きていないようでは
ありますが・・・。

有権者の約10%はまだYesかNoか決めかねているとのデータも出ていて、接戦の中、
これらの浮動票が勝負のカギを握りそうです。

■capital flight (お金の逃避)
■win around floating voters (まだ決めていない投票者たちを味方につける、浮動票を獲得する)



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