前回の続きです。

グルメを楽しみにイギリスに来る人はあまりいないでしょうが、せっかくなら美味しくて、ちょっとでもイギリスらしい料理を食べたいと思うのが人情というもの。
そこで、前回出てきたような「Wagyuと比べてみるべく、ロンドンを訪れた時のディナーに、高級ステーキハウスなどはいかがでしょうか。

私も日本からの来客があった時、どこか一緒に食事に行くなら、このステーキハウスをプランに組み込もうとします。特別な時(special occasion)の「ごちそう」という感じがしていいですし、その割にはフレンチほど気取ってない雰囲気もリラックスできて◎。

イギリスの肉料理といえば、どうしても「ローストビーフ」(roast beef)のイメージが強いと思うのですが、どちらかと言うと、パブ(pub, イギリス版の居酒屋のこと)や家で食べるものという感覚があり、専門のレストランはほとんどありません。イギリス人が、「今日は何か良いものを食べに行こう!」という時のチョイスとなるのは、圧倒的にステーキの方でしょう。

なので、もしロンドンでお肉をしっかり食べたい気分であれば、もう割り切ってステーキに絞ってしまった方がいいと思いますね。


余談ですが、誰かがロンドンにやってきた時、「やっぱりイギリスは不味いものばっかりだね・・・」と思われて日本に帰られるのもイヤなので、一応こちらも頑張ります。
けれど、「イギリスの料理は美味しいってことがわかったよ!」というセリフを残されて帰られるのも、これはこれで釈然としません。「いや、本当は違うんだ!!」と叫びたくなりますし、成功の陰には多くの失敗だってあり、レストラン選びもけっこう気を遣うものなのです。



さて、そんな叫びはさておき、ロンドンにいくつもあるステーキ専門店の中でも、まず王道としてオススメできるのは「Hawksmoor」(ホークスムーア)というお店。値は張ります(円に換算すると余計に)が、美味しいです。


↓ いくつか支店がある中で、これは「ピカデリー・サーカス」という駅から歩いてすぐの「Air street店」。ロンドン市内の中でもアクセスしやすいので便利です。平日の夜でも結構混むので、予約してから行った方が良いでしょう。

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日本での「霜降り肉」(marbled meat)と違って、赤身のお肉を美味しく頂くのがイギリス流。赤身なので、口の中でとろける・・・とはいかないものの、その分お肉のフレーバーが口の中にしっかり残りますし、ワインと一緒に楽しむにはむしろこの方が良いのでしょう。私もここで、赤身の魅力というものに目覚めました。


それから、「Goodman」(グッドマン)。
ここも概ね好評ですが、お肉に関してはHawksmoorの方が一枚上手でしょうか。
そうは言いつつ、スモークサーモンやニシンなどシーフード系の前菜(starter)を頼むと、こちらの方が美味しく、本当に一長一短というところ。デパートの「Liberty」から近いところに店舗がありますね。


さらに、「Gaucho」(ガウチョ)という、アルゼンチン・ステーキのお店。
そう言われてもあまりピンとこないのですが、ブラジルに行った人が食事を全く褒めない一方、アルゼンチンはちょっと別格のようです。

ここもお客さんを連れていってもいいほど美味しかったのです。ただ、下味を十分につけるマリネートのお肉を頼んでしまったので、他との比較がしにくくなってしまいました。日本でもイギリスでもあまり見かけない、中南米のワインが揃っているので、お酒好きならそれだけも楽しめそうです。

中には白と黒の「牛柄インテリア」になっている店舗もあり、これはちょっとついていけません・・・。


あと、「Avenue」(アヴェニュー)。
ここはステーキハウスではなく、「Contemporary American」とか「New American」などというジャンルに入るお店なのですが、私はここのフィレステーキが一番美味しいと思いました。
最寄りの地下鉄駅は「Green park」、高級ホテルの「Ritz」や、デパートの「Fortnum &Mason」の近くにあります。

内装はかなりモダンで、バックでかかる音楽も大きく、ゆっくり大事な話をしながらというシチュエーションにはちょっと向かないかもしれないですが、料理で外すことはないでしょう。

↓ 黄色いフラッグが目印です。隣は「John Lobb」。

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これらのステーキレストランは、ロンドン中心部にかたまっていて、アクセスも良いです。
基本は予約してからの方がいいとは思いますが、そんなに人数が多くなければ飛び入りで入れることだって珍しくないでしょうし、その日の気分に合わせてもいいかもしれませんね。


ちなみに、ステーキハウスやフレンチのレストランに入ると、「Steak tartare」というのがメニューに載っていることがあります。
いかにもステーキとタルタルソースの組み合わせであるかのように思わせるのですが、これは生肉。
牛肉を細かく切って味付けし、玉ねぎやケッパーなどの薬味と合わせた、いわば西洋版ユッケのようなもので、日本人の口にもよく合います。ただ、「生はちょっと・・・」という人も多いでしょうから、注文する時には気をつけましょう。



日本でも「熟成肉」(aged meat)が流行っていると聞いたことがあります。本当に日本はいろんなものが流行りますね。
イギリスではレストランのみならず、スーパーでも真空パックにして売っているところもあって、もうちょっと身近な存在でしょうか。「30 day aged beef」などとラベルに書いてあり、すぐに見つけることができます。

ただ、「熟成」というと、何だかいかにも美味しそうで良い響きですが、当然これを作っている現場というのもあるわけで、風にさらされた肉の表面を覆っているだろうフワフワとしたカビなどを想像すると、ちょっとだけ食欲がセーブされるような気がします。


■前菜(starter)、メインは「main」で通じます。
■霜降り肉(marbled meat)、熟成肉(aged meat)