グルメ話の続きになります。

この手の番組は、意表を突いたところから日本を紹介してくるので、なかなか油断できません。

例えば、「日本人はもう本当にラーメンが好きで・・・・」などとナレーションが流れつつ、画面には、「博多らーめん」という缶と、「おでん」という缶が売られている不思議な自販機(vending machine)がさりげなくアップになったりします。しかもなぜか、あの懐かしいUCCのロング缶のコーヒーと一緒のマシンに。

日本でそんな自販機を見かけたことないですし、そんな缶を食べている人も見たことがありません。どこに売ってるんでしょうか??
百歩譲って、「缶おでん」ならまだわかりますが、「缶ラーメン」の場合、麺をそのまま温かいスープに入れていたら伸びそうですし、どういう仕組みになってるんですかね?
・・・ちょっと食べてみたいです。



さて、日本が誇る「和牛」は、イギリスでも知名度が高くなりつつあって、グルメに興味があるイギリス人にならWagyu」(ギュー)と言えば通じます。そして、この「Wagyu」を知っているぐらいの人であれば、Wagyuの中でも最高峰とされる「Kobe Beef」も知っているはずです。

今や日本には「○○牛」というブランドがたくさんありますし、どれを食べてもかなり美味しいので、日本人がそんなにチョイスにこだわることは逆に少ないんじゃないでしょうか。

けれど、外国人にとって「Wagyu」といえば、やはり「Kobe Beef」のネームバリューが他を圧倒しています。
本場・神戸の人に聞いてみても、ローカルのステーキレストランに外国人を連れて行くとやっぱりものすごく喜ばれるよと言っていましたね。(ま、神戸牛のステーキなら、外国人に限らず、誰を連れて行っても喜ばれると思いますが・・・)

ちなみに私は今まで一度しか食べたことがなく、しかもかなりの大昔。
神戸への家族旅行だったのですが、親との会話は何一つ憶えていないくせに、神戸の本屋さんで立ち読みして「この店に行こう!」と決めたことと、その店の神戸牛ステーキのショッキングな美味しさだけはきちんと記憶に残っているので、我ながら現金な子供だったと思います。(ちなみにガーリック・チップを生まれて初めて目にしたのもこの時でした)

2年ほどたまたま食べなかった吉野家の牛丼でさえも、頭の中で美化されて、ごちそうに思えたぐらいですから、20年以上前の思い出などは何をかいわんや。もう美化どころか、「神戸牛のステーキ」というのは、どこか違う次元へと昇っていった仙人のような存在に・・・。そんな経験から考えると、他のブランド牛肉も十分美味しいのはわかっているんだけど、「Kobe beef」だけは特別な存在だよね、と思っている日本人も結構いるかもしれませんね。



番組中のグルメなイギリス人二人が、このKobe beefを取材しないはずがありません。
わざわざ現地まで出向いて、農家にインタビューし、やわらかい(tender)肉をつくる秘訣を探ります。

「毎日ワラのベッドで牛をマッサージしているってホントですか?」
「オペラを聞かせて育てるってホントですか?」
「ビールを飲ませて育てる(fed beer)ってホントですか?」


別に彼らは冗談で聞いているわけではなく、いたって本気です。
神戸牛がプリンスのような生活をしているというのは、同僚のイギリス人も同じようなことを言っていましたし、私の知識も似たようなもの。彼らのことを決して笑えません。


ここで取材された農家のコメントによると、現実は以下の通り。現実はとても現実的なのだと知りました・・・。

「マッサージはしていないが、特別な牛にグルーミング(grooming)ならしている。」
「オペラは一度実験してみたことがあるが、お肉の質に変化はなかったのでやめた。」
「ビールはもうどこの農家もやっていない。」
(ただし、餌のレシピにはやはり秘密があるようです)


実は、「神戸牛にビールを飲ませる」という話は私もずっと信じていたのですが、確かに人間がビールを飲むだけでもお金がかかるのに、何十頭、何百頭もの牛が毎日ビールを飲んだら、大変なコストになってしまうでしょう。

こういうのを見ると、果物にモーツアルトを聞かせるとか、昔テレビでやっていた話も本当なのか?と今になって疑いたくなってきます。もう10年以上前、確かに「α波効果」というのが流行ったことがあり、流行の終わりかけになって、私も思わず一枚千円のワゴンセールでCDを買ったことがありました。(あれも何処へ行ったのか?)
最近はあんまりこの話題も聞かないですね。


牛ではありませんが、「Corn fed chicken」(コーンで育てたチキン)というのがイギリスのスーパーで売られていたりします。私は結構好きで、たまに買ったりするんですよね。

不思議なもので、「神戸牛はビールを飲んで育つんだ」と信じ込んでいると、何となくそれだけでステーキの美味しさを引き立ててくれそうに感じます。ビール分だけ美味しいみたいな。

それと同じで、「この鳥はとうもろこしを食べてたのね。見た目もちょっと黄色いし。」と思っただけで、少しだけ(とうもろこし分だけ)美味しく感じているという、完全にイメージの世界なのかもしれません・・・。


■自販機(vending machine)
■和牛(Japanese beef, Wagyu) ※中には「Wagyu beef」という人も。「チゲ鍋」と同じようなものですね。