前回の続きです。


◆ゴールデンカレー(中辛)

イギリスのスーパーで、たまに「ゴールデンカレー」のルーを見かけることがあります。
私が見たことあるのは中辛(mild)タイプかつ100gの小箱のみで、なぜか他を見かけません。

これがイギリスでは2.29ポンド。

日本ではこのサイズ、この味をあえて買う人が少ないのか、検索してもなかなかヒットしません。
S&Bのホームページに180円とありましたから、これを使いましょう。

ゴールデンカレー指数(中辛):「1ポンド=79円」


ちなみに、「ルー」というのは、「roux」というフランス語。
なので「カレールー」は、「curry powder」とか「curry paste」などと言わないと、英語では通じません。
特に、イギリスでは「ルー」と言えば「loo」のこと。「トイレ」の意味になってしまいます・・・。



さて、闇雲に比べまくった中でも、前回のヤクルトあたりから、敢えて比べるアイテムを徐々に「日本的なモノ」に傾けてみました。指数の比較対象としてはフェアではないはずです。

「ビッグマック指数」(Big Mac index)の一つの欠点は、本当にビッグマックは世界中の人にとって同じ価値があるのか?というところにあります。つまり、そもそもハンバーガーは欧米人の好きな食べ物であって、日本人にとってはそこまでではないという、好みのバイアス(bias)があるんじゃないかということです。

「醤油」や「カレールー」などは極端な例で、日本人には当たり前なものでも、イギリス人にとっては買う人の方が少数派。インターナショナルに値段を比較するのに適当なアイテムでは全くなく、生活感覚レートの「1ポンド=100円」をも割り込み、イギリスで割高な値付けがされていることがわかりました。
イギリス人が醤油を買うというのは、日本人がグレービーソースとか、バルサミコ酢を買うようなものなのでしょうかね?



為替レートは、貿易、金利、中央銀行の動きなどに加えて、投機的な(speculative)トレードも入り混じって決まるブラックボックス的な性格が強いですから、この手の指数で将来のレートを占う人はあまりいないでしょう。

じゃあ全く意味のない指数なのかというと、私はそうでもないと思っています。
こうしてモノによって比べた指数が、明らかに異常値を叩きだしているのであれば、どちらかの国の値付けが偏っているんじゃないか?という想像ができますからね。


◆タクシー初乗り料金

例えば、以前の記事でもご紹介したように、ロンドンタクシーの初乗り料金(minimum fare)は2.40ポンド。
東京の価格である730円と比べると、「1ポンド=304円」となり、これは明らかに今まで見てきた指数たちに対して、ギャップがありすぎます。

それもそのはず、日本のタクシー運賃は、国が初乗り料金のレンジを高い水準に固定してしまっていますから、
本来起こるべき競争が制限されています。
慣れてしまえば、「タクシーって高いよね」で終わりですが、このような国際比較してみてるとそれが浮き彫りになり、「ちょっと日本はおかしいんじゃないの?」と、私たちにアラームを与えてくれるわけです。


◆マルボロ

あとはタバコ(cigarette)。
普段買わないので全くわかりませんが、イギリスではマルボロが一箱8.97ポンドというのを発見。
日本では一箱460円とありますので、これを同様にレートにしてやると、「1ポンド=51円
これはタクシーとは逆の方向に大きなギャップがあり、イギリスがどれだけタバコに対して高い税金をかけているのかよくわかります。


最近のルーブルの動きなどを見てもあらためて思いますが、「適正な為替レート」なんていうのは、実は幻のようなものじゃないでしょうか。
ポンドそのものが割高なのか、割安なのか?にハッキリとした答えはなさそうですが、「個別のモノやサービスが割高なのか、割安なのか?」を比べてみるのは、なかなか実用的で面白いかもしれません。


■お手洗い、トイレ(toilet, restroom, loo)
■偏り(bias)
■投機(speculation)、投機的(speculative)