またここ最近、EU(European Union)のことが話題になっています。
最近というより、もう常連のトピックスですかね。


EUを運営して、政策を実行するための予算(budget)には、EU加盟国からの分担金というのが欠かせない
財源です。
負担する金額はそれぞれの国の経済活動の大きさによって毎年決められることになっていて、いくつかの国
は追加で負担が求められ、いくつかの国はお金が戻ってくるという「調整」が毎年行われます。

今回の場合、イギリスに対して、21億ユーロ(約3,000億円)という追加払いの「請求書」(bill)が一方的に叩き
つけられました。もちろんオランダやイタリアなど、他の一部の国も「払い側」に回っているのですが、イギリス
に課された額がケタ違いに大きいということで注目されているわけです。

ただでさえ反EUのムードが高まりつつある中、保守党にとってはダメージとなる追加請求(surcharge)。
イギリス政府としては、「受け入れられない!」「払わないぞ!」と強い口調で怒りを表明していましたが、
それからわずか2週間ほどで妥協案で合意したようです。

どんな内容か見てみますと・・・

①当初支払額は21億ユーロ(17億ポンド) → 将来EUから払い戻される「rebate」(※)と相殺して半額
②当初支払期限は2014年12月 → 2015年7月と9月の分割払い(installment)に。

※rebateというのは、日本でも「リベート」とよく言うように、「(何かの割合に基づいて)返ってくるお金」のこと
です。EUが集めたお金は、イギリスとは比較的関係の薄い農業政策に使われるポーションが多いため、
イギリスは分担金を支払った後に、rebateという形で払い戻しを受けられるようになっています。
今回のケースでは、将来の払い戻しを前倒しして、請求額と相殺できるということにすぎないので、トータルで
みれば「減額」とは言えません。


そもそも、統計データを元に計算して決めた分担金の額をEUが免除するとも思えません。
下手に抵抗し、EUとの交渉を続けていれば、支払の減額はおろか、遅延利息まで上乗せして支払う羽目に
なり、交渉で費やされた政府の貴重な時間と労力はムダになり、しかもEUとの関係は悪化するだけ・・・という
最悪シナリオが濃厚だったでしょう。そうなれば、野党の攻撃の的になり、国民からの批判も避けられません。
(ちなみに仮に支払を無視し続ければ、利息だけで年間1~2億ユーロにもなると言われています)

それならばrebateの先取りも一つのマジックとして活用しつつ、支払条件を緩めたことを国民にアピールし、
早くケリをつけてしまった方が得策。
イギリス人らしいといえるのか、言葉とは裏腹に、sensibleな決断をしてくるものです。

■rebate(払い戻し金)
■installment(分割払い)
■surcharge(追加請求)