前回、前々回とイギリスの所得税に関するご紹介をしたのですが、
ちょっと自分が誤解をしていたことがわかり、この記事で修正をさせて頂ければと思います。
(親切にメッセージを下さった方がいて、そのおかげで気付くことができました。この場を借りて、お礼と
 おわびを申し上げます。)


何かというと、日本とイギリスとでは、所得税の計算の仕方が違うということです。


日本の税率は、今の時点で「6段階」だとご紹介しました。(2015年から7段階に)

195万円以下:5%
330万円以下:10%
695万円以下:20%
900万円以下:23%
1,800万円以下:33%
1,800万円超:40%

例えば課税所得が500万円のケースだと、上のテーブルから税率20%(100万円)が課せられる
ことがわかります。


一方、イギリスの税率は3段階。

(※personal allowance差し引きのベース)
    1~31,865ポンド :20%
31,866~150,000ポンド :40%
    150,000ポンド超   :45%

例えば、所得が50,000ポンドのケースを考えてみますと・・・
まずは「personal allowance」の10,000ポンドが控除できるので、課税所得は40,000ポンドになります。
(ちなみに10,000ポンドを差し引けるこのallowanceも、所得が100,000ポンドを超えてくると徐々に減ってくる
仕組み。)

この次が問題で、40,000ポンドを上のテーブルで探すと「40%」のレンジに入るので、「一律40%もかけられる
のか」と思ってしまったのですが、そうではありません。
31,865ポンドまでの所得についてはあくまで20%が適用されて、それを超えた部分(8,135ポンド)については
40%を適用する
という見方をするのです。

これで実際に税額を計算してみると、
①31,865ポンド×20%=6,373ポンド ②8,135ポンド×40%=3,254ポンド  ①+②=9,627ポンド
と、一律40%で計算した税額16,000ポンドを大きく下回ります。
(実質的にはあんまり「セレブな」税率とは言えないですね)


つまりイギリスの税率表は、人を特定のレンジに選り分けるための表ではなく、人の課税所得を税率別に振り
分ける表であるということがわかります。

もちろんこのやり方であっても、中間層にとっては、所得が増えれば増えるほど、40%に絡め取られる部分が
増えますので、日本よりハードであることには変わりないでしょう。