日本では経産相の辞任(resignation)が近いとニュースになっています。

いつものことながら、なぜこういうトピックスはスキャンダル的に突然出てくるのですかね?
報道では「2010年、11年の収支に差額が・・・」と当たり前のように言っていますが、普通に考えれば、
2010年の記録をまとめた関連書類は11年に所定の監査(audit)を受けるでしょうから、問題があったと
すればそのタイミングで指摘されなければおかしいわけです。

それに、収支報告書で観劇ツアー代として参加者から受け取った代金(収入)と、後援会が負担した支出
に差があるなどというのも、素人が調べてもわかりそうなものであって、専門的でも複雑な話でも何でもあり
ません。「何年もかけて追及し、ついに発見しました!!」という類のものでもないでしょう。
企業の会計監査に比べれば、政治団体の帳簿の監査など何でもないと思うのですが・・・。

小渕氏の責任はもちろん問われるべきなのでしょうが、ベビー用品がどうだとか、ネギがどうだとか、週刊誌
的な個人叩きに向かってしまうならば、フォーカスはどんどん逸れていくような気がします。
今回のようなことは氷山の一角だと思っている人がほとんどでしょうし、国の組織から独立した第三者が
チェックし、データを公開する法を整備しなければ、また同じ問題がどこからか出てきて、政権叩きのツール
にされるだけでしょう。


じゃあイギリスは完全にクリーンなのかというとそうでもなく、確かにこの手の問題はありました。

2009年のこと、更なる情報公開を求める声が高まる中、国会議員が請求(claim)した経費の詳細もきちんと
開示すべしということになり、その準備が進められていました。
ところがこの情報が正式公開される前に新聞社に流れてしまい、あらいざらいの情報が国民の目に晒される
ことに・・・。
調査(investigation)ではかなり細かな部分まで追及を受け、過大請求が明るみに出る度に世論の怒りは
膨れ上がり、閣僚も辞職するという一大スキャンダルに発展しました。一部の議員は実刑判決も受けていた
はずです。

注目したいのは、このスキャンダルの後、「IPSA」(Independent Parliamentry Standards Authority)という
独立機関がつくられた点で、ここが議員の使った経費データの管理と公開をするようになりました。

オンラインで情報公開していますから、誰でも簡単にアクセスできます。
プルダウンから検索する年度を選び、選挙区(constituency)や議員(MP)の名前を選ぶと、誰がどの経費を
いくら使ったのかハッキリと出てきます。さらにトータル金額をクリックすると、件別のディテールが現れて、
例えば交通費であれば、何月何日、どこからどこまで移動したのかまで確認できるようになっているのです。

「ルールや透明性はまだまだだ」という声もあるものの、日本に比べればずっとクリアだと思いますし、少なく
ともフェアな方向に持っていこうという意志を感じます。

人間のやることですから、イギリスも日本も似たようなリスクは抱えているもの。しかし、ひとたび重大な問題
が起きた時に、そこからのリカバリーは迅速で、しかも徹底しています。これは日本との決定的な違いでしょう。


■expense (経費)、expenses scandal(経費スキャンダル)
■tip of the iceburg (氷山の一角)