この前新聞を読んでいると、「住むコストだけを考えるなら、ロンドンは世界で最も高い都市
(most expensive city)」だという内容の記事がありました。
(2位以下は、香港、NY、パリ、東京の順)

ロンドンの物件には、「さあ住むぞ!」という「実需」が多いだけでなく、売買益をねらった「投機」
のお金も海外からたくさん入ってきますから、全体の相場は釣り上がります。
私は別に良いところに住んでいるわけではありませんが、それでも大家さんが毎年値上げを要求
してくるようになったので他人事ではありません・・。
ポンド円が上がってきた今、家賃を円に換算して考えるとやっぱり高いですし、ここしばらくの住宅
価格高騰のニュースを聞いていると、感覚的に納得できるという感じですかね。

ちなみに、食べ物とか服とか、もっと幅広い物価で比べた調査では、シンガポールが東京を抜いて、
トップに躍り出たとか。
まあ、このランキングで抜かれても全く悔しくはありません。


そんなロンドンの市長を務めるのは「ボリス・ジョンソン」(Boris Johnson)。
いつ見ても髪がクシャクシャなのは、ほとんどトレードマークのようになっている個性派政治家で、
来年5月の総選挙には保守党候補としての参加を表明しています。
例えるならば、首相の座をねらう東京都知事といったイメージでしょうか。

もし当選したとしても、今の任期が満了するまでは、市長もやりつつ議員もやると公言しています。
遡ると王家の血も引いているという話で、イギリス人には割と人気が高く、これからも注目しておく
べきkey playerの一人であるのは間違いありません。


ちょっと意外なのは、このボリス・ジョンソンが就いているロンドン市長(Mayor of London)の
ポジション、2000年にできたばかりというところでしょうか。

日本の場合、ある市に住んでいたら、市議会議員を選挙で選んで、市長も選挙で選びます。
その市長が行政のトップとなり、市議会はこれをサポートしつつ、監視もするというシステムです。
これに対して、イングランドの「市」の仕組みはちょっと変わっていて、市議会(council)だけで
「議会&行政」の役割を果たしており、あえて市長という独立したポジションを置いていませんでした。

2000年前後のブレア政権(労働党)というのは、政府からの権限委譲(devolution)が進んだ時代。
これまでご紹介してきた、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの議会は全部この首相の時代
に設立されたものですし、2000年にロンドン市長のポジションを作ったのも、その一環です。
さらに地方都市にも分権を進めていくトレンドが生まれる中、保守党のキャメロン政権に変わった後、
ある「住民投票」が実施されたのです。

続きは次回に。

■property price(不動産価格)、rent(家賃)
■actual demand(実需)、speculation(投機)
■mayor(市長)、directly-elected mayor(直接選挙で選ぶ市長)


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※ガイドブックにもよく載っている「ロンドン市庁舎」(London City Hall)。
 モダンアートのような建物がテムズ川のほとりに建っています。手前は謎のオブジェ。